危機一髪
三毛猫みゃー
危機一髪
息を呑む音が聞こえる。ドクドクと鳴っているボクの心臓の音がうるさい。
ボクはナイフを手にとりゆっくりと突き刺す、奥まで突き刺した所で息を吐きナイフの柄から手を離した。
「次は君の番だよ」
ボクは隣に座っている女の子に新しいナイフを手渡した。女の子はどこか楽しそうに笑いながら何のためらいもなくナイフを突き刺す。その様にそこかしこから感嘆の声が上がる。
「次はあなたの番よ」
少女はニコニコと笑顔を浮かべながら隣の気の弱そうな男の子にナイフをた渡す。
男の子は何度か深呼吸をしてナイフをゆっくりと刺していく。気の弱そうな男の子もナイフを奥まで差した所で息を吐きナイフから手を放した。
「はい、次ね」
男の子は隣の女の子にナイフを手渡した。そのナイフを受取女の子は慎重に狙いを定め、ナイフを刺していく。
既に何本もナイフが刺されたために、ナイフのさせる場所が残り少なくなってきている。
そして再びボクの番が回ってくる、一周まわった隣の女の子に無言でナイフを渡される。よく見てみるともうナイフでさせる場所が残り一箇所しか無い。皆が注目する中でボクはそこへとナイフを一気に差し込んだ。
パコンっという音とともにそれはボクに向かって飛んできた、咄嗟に避け髪に触れること無くギリギリ当たらずに済んだ。
「やったーボクの勝ちだ」
「えぇー飛び出したら負けじゃないのー?」
「んーどっちなんだろう」
「説明書によりますと、救出した人が勝ちのようです」
「じゃあ、いっちゃんの勝ちかー」
「ねえねえもう一回やろう」
「「「やろうやろう」」」
みんなして刺さっているナイフを全部抜いて並べる。
そして最後にボクは飛び出して転がっている海賊を樽にセットした。
おしまい
危機一髪 三毛猫みゃー @R-ruka
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