第149話 裏切り者の末路
ゴーテル魔鉱山の所有権は領主であるドイル様のままとなった。
これに関しては仕掛け人であるローウェルが間抜けすぎたおかげで無事解決となったようなものだな。彼がもう少し思慮深く行動できる男なら、今頃はヤツに所有権を握られていたかもしれない。
今回の件はすぐさま騎士団にも伝えられた。
すると、夜のうちにローウェルを牢獄へぶち込むために護送用の馬車まで用意してマクリード家の屋敷へと駆けつける。
「大人しく乗れ!」
「往生際が悪いぞ!」
「い、嫌だ! 放せ! 俺はグラバーソン家の人間だぞ!」
その言葉を受けて騎士たちは一瞬ためらうが、
「家族を裏切る罪人が名乗る家名などない。連れていけ」
突き放すような言い方で指示を飛ばしたのは実の兄であるダーレン様だった。
「あ、兄上! 実の弟を監獄送りにするのですか!」
「ならば聞くが、実の兄を禁忌魔法で操り、己が欲を満たすために才ある若者の未来を潰す行為は許されるのか?」
「ぐっ……」
ド正論を投げつけられたローウェルはただ黙るしかなかった。
因果応報。
これはヤツ自身が招いた結末。
救いようがない。
それでもあきらめきれないローウェルは護送用の馬車へ押し込まれるまでの間、ずっと何事かわめいていた。
ただ、最後の方は謝罪をしているようにも聞こえたな。
ここへ来てようやく自分の過ちに気づき、取り返しのつかないことをしでかしたのだと理解したようだが……いくらなんでも遅すぎたな。
俺としても同情の気持ちは毛ほども浮かんではこない。
これからローウェルは牢獄の中で反省し続けるだろう。
……まあ、生きているうちに出てこられるかどうかは分からないけど。
「ジャスティン殿、今回は君に助けられたな」
馬車が発つのを見送ってから、ダーレン様は俺のもとへやってきてそう告げると握手を求められた。
すぐさま応じるも、その表情は冴えない。
あんな風に冷たくあしらったけど、本音としてはやはり弟を監獄送りにするのは抵抗があったようだ。
しかし、そんな情を振り切って厳しい処分を受け入れているのだからさすがだな。
これにて事態は一件落着――と、思いきや、まだ問題はいくつか残されている。
まず気になるのは……やっぱりリリアンさんの件だよな。
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