第136話 囚人シュナイダーからの情報
「んで? わざわざ嫌味を言いにこんな辺鄙な場所まで来たっていうのか?」
「まさか。教えてもらいたいことがある――あんたの同業者についてだ」
「っ!」
ピクッとシュナイダーの目元が動く。
何か思い当たる節が……ありすぎて困っているって感じだな。
「何か気になるヤツでも思い浮かんだか?」
「俺もあの業界に浸って長いからなぁ。周りにいるのはそんな連中ばかりだ」
うんざりしたように言い放つシュナイダー。
そういえば、ヤツのアジトが発覚したのも先に掴まった同業者が刑期を短くするために吐き出したんだったな。
「期待を裏切ってがっかりされる前に言っておくが、同業者すべてのアジトを網羅しているわけじゃねぇからな」
「今回はアジトの場所を知ろうというんじゃない。ある商人についての情報が欲しいんだ」
「商人? ならだいぶ絞れるな。他に特定できそうな話はないのか?」
「そいつは最近になってグラバーソン家に近づいているらしい」
「グラバーソン? そいつはまた大物に手を出したな。――待てよ。もしかしたら……」
「心当たりがあるのか?」
意外と協力的だったシュナイダーだが、有益な情報を前にすると急に黙り込む。
ここから交渉というわけか。
あまり無理難題をふっかけてくるようだったら見切りをつけて次の手段に移るが、ヤツの要求は一体なんだ?
「本来なら刑期の短縮を希望するが……今日は気分がいいからロハで教えてやるよ」
「いいのか?」
「ああ」
……どういう心境の変化だ?
もしかしたら、これも罠?
警戒心を強めていると、シュナイダーはそんな俺を見て苦笑いを浮かべた。
「あんたがそういう態度に出るのはよく分かる。逆の立場ならきっと同じ反応だったろうからな。実際、こうして話をする前は何を求められても答える気はなかった――が、今のあんたになら教えてやってもいい」
そう語るシュナイダーの目に濁りはない。
本音で語っている。
俺にはそう思えた。
「助かるよ、シュナイダー」
「あんたに礼を言われる日が来るとは思わなかったが……それよりもここからの話は覚悟を持って聞いた方がいいぜ。何せ俺が語るのは――知られざるグラバーソン家の闇だからな」
「何っ?」
グラバーソン家の闇?
一体どんな情報なんだ?
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