第131話 今後について

 王都まで遠征してきたにもかかわらず、結果的にリリアンさんとウェズリーの関係について詳細な情報を得られなかったわけだが……それとは別にひとつの事実が発覚した。


 それは例の魔鉱山に関して。


 ゴーテル魔鉱山で採掘される魔鉱石の管理については、公爵家であるマクリード家の支援を受けながらトライオン家が取り扱うことになっている。


 恐らく、グラバーソン家はそれが気に入らないのだろう。

 

 噂の域を出ないが、すでに両家の間で何度か話し合いの場が持たれているらしい。


 当然ながら、その話はトライオン家にまで届いてはいない。

 もしかしたら……リリアンさんが結婚をためらっているような素振りを見せている秘密はそこにあるのかもな。


 帰りの馬車の中ではそのことばかり考えていた。

 場合によっては、せっかく良好となってきているトライオン家とマクリード家の間に亀裂が生じる可能性もある。


 これについては損得勘定というわけでなく、ドイル様とアリッサ様という若いふたりの未来にもかかわる問題だ。


 魔鉱山管理に関する話し合いをしつつ、ふたりはよく談笑している。

 マリエッタさんやブラーフさんはもっと親密な間柄になってほしいと願っているようだが、正直それは時間の問題だ。

 

 ふたりはあの手この手を使って距離を縮めようと企んでいるようだが、そんな小細工を使わなくたって大丈夫だと思うんだがな。


 ともかく、おふたりがこれからも親しい間柄を保っていけるよう、両家の間で起きている問題について可能な限り対処していかなくては。


「……駐在勤務の騎士がやることじゃないかもしれないけど」


 これでも一応は聖騎士の称号をもらった身。

 今はいろいろあって辺境領地の駐在所勤務だが、それまでは戦場の最前線で戦ってきたバリバリのプロだ。


 きっと、ドイル様とアリッサ様のお役に立てるはず。

 そのためにも、まずはアミーラに話をしてみないとな。


  ◇◇◇


 長旅を終えてカーティス村へと戻ってきた。 

 変わりないのんびりとした雰囲気に安堵しつつ、駐在所へ。


「ただいま」

「おかえりなさい、先輩。長旅お疲れさまでした」

 

 真っ先に出迎えてくれたのはエリナだった。

 彼女にも事の顛末と今後の対策について報告をしなくちゃいけないのだが……アミーラはいないようだ。

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