第125話 相談

 早速、俺はリリアンさんの件について報告を行う。

 ドイル様は面識がないようで「そんなことがあったのかぁ」という感じのリアクションであったが、幼い頃からグラバーソン家と付き合いのあるアリッサ様はまた違った反応を見せる。


「あのリリアンが……結婚に対して悩みがあるのかしら……」


 どうやらかなり深刻に捉えているようだ。


「最近はお仕事も忙しいみたいで、昔のように頻繁に屋敷へ来られなくなってしまったから近況について何も聞かされていなかったのだけど……これはお父様にも相談してみなくてはいけませんわね」


 なんだかどんどん大事になっていっているな。

 ただ、アリッサ様がどれほどリリアンさんを心配しているのかというのは伝わった。


「そういえば、お相手は騎士団の方でしたわね。ジャスティンさんは御存知?」

「えぇ。私の後輩です」

「どのような方ですの?」

「彼が入団してから別の隊に所属していたため、現在どうなっているかは……ただ、知り合った当初の彼は真面目で努力家でしたよ」

「相手方に問題はなさそうだけどなぁ」

 

 俺もドイル様と同意見だ。

 ……だが、少し気になる点もある。


「今回の結婚ですが……疑問があります」

「なんですの?」

「グラバーソン家は代々公爵家に仕える由緒正しい魔法使いの一族。それがなぜ魔法とは無縁の騎士団関係者と結婚するのか。リリアンさんはグラバーソン家の人間でありながら生まれつき魔法が使えない体質と聞いています。しかし、それでも違和感がある気がしてならないのです」

「そうですわね……こういう言い方はあまりよくないですが、仮にリリアンさんの婚約者が優秀な魔法使いであれば、子どもは問題なく魔力を扱えるかもしれません」


 政略結婚の類ならば、そちらの方向で話をまとめそうなものだ。

 グラバーソン家、か。

 国内でも指折りの名家ではあるが、今回の結婚については裏に何かを隠しているのかもしれない。


 ……田舎の騎士がでしゃばるような問題じゃないかもしれないが、なんだか妙に引っかかるんだよなぁ。

 明日にでも王都を訪ねてみるか。


 アリッサ様も気にされているようだし、そんな様子の彼女を見てドイル様はとても心配している。

 おふたりのメンタル的にもそうした方がよさそうだ。

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