第110話 応援到着
その後、エリナとアミーラを連れて町を巡回し、トラブルを解決していった。
しばらくしてようやく騎士団が到着。
さすがにまずい事態だと判断したのか、かなりの大人数だった。
中にはよく見知った顔もいる。
「お手柄だったわね、ジャスティン」
「ミラッカ? 君も来ていたのか」
ゲイリーと同じく同期であるミラッカが、俺たちのところで詳細な情報を聞き出すためにやってきた。
「先行して町へ入った時、様子はどうだった?」
「ひどい有様だったよ。治安維持のための戦力がなくなったと知れ渡った途端、それはもう好き放題に暴れ回るヤツが多くてなぁ」
「しかし! そんな連中に困っている町の人たちを救うために先輩は剣を抜いて悪漢たちをズバズバと斬り捨てていったのです!」
「斬り捨てたの?」
「斬り捨ててはいない。痛みを伴う話し合いをしたまでだ」
「大差ないじゃないの」
エリナは熱弁を振るってくれたが、その説明だと俺が殺して回っているようにも聞こえるので誤解を生みそうだ。
だいぶ年下のアミーラに「お、落ち着いてください」とフォローを入れられるくらい興奮状態となっているし……少し暴れすぎたか?
――気を取り直して、俺もミラッカから情報を得るとしよう。
「そっちは何か分かったか?」
「それがまったく。一応、ここにも複数人が常駐している詰所があるんだけど、そこはもぬけの殻になっていたわ」
「完全に消えたってわけか……妙な話だな」
騎士の仕事は厳しいし、命を失う可能性も大いにある。
たまにその恐怖心から任務を投げ出してしまい、そのまま戻らないという者もいるが、今回はそれに当てはまらないと思う。
何せ、複数人が忽然と消えたんだからな。
単に仕事絡みの理由とは思えない。
そんな時、ふと脳裏をよぎったのは……
「ゴーテル鉱山と何か関係があるかもしれないな」
「それって、アボット地方で新しく見つかったっていう魔鉱石が採掘される山よね」
「ああ……まあ、関連性があるわけじゃなくて本当になんとなくそうかもしれないって思っただけだよ」
「でも、あなたのそういう嫌な予感って的中率高いのよねぇ……もうちょっとポジティブな予感とかできないの?」
「無茶いうなよ……」
自分でそれを自在に制御できたら世話ないって話だ。
「ともかく、事後処理はこちらでやっておくわ。何か新しく分かったことがあれば必ず報告を入れるし」
「了解だ。俺たちはカーティス村へ戻るよ」
あそこが本来の職場だからな。
これでようやく通常勤務に戻れるよ。
――この時の俺はまだ今回の事件を軽く見ていた。
実は裏でとんでもない事態が進行していたわけだが……それにはまったく気づけずにいたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます