第108話 実力差
グラッセラのギルドを我が物顔で牛耳っていたチンピラたち。
間違いなく、今回の件はヤツらだけの仕業ではない。
そんな大それたことをやれる力は何ひとつ持っていない連中だ。
大方、誰かに金を積まれてここに居座れとでも言われたのだろうな。
ヤツらの背後にいる存在が何を企んでそんな真似をしたのかは不明だが、おかげでグラッセラではあちこちで大損害を被っている。
「雑魚に用はない。おまえたちの中で一番強いリーダーを出せ。おまえたちをここに留めておく理由が知りたい」
「いい度胸じゃねぇか、聖騎士の兄ちゃん」
ギルドの奥から、ひと際大柄な男がやってくる。
さっきまで椅子に座っていたから分からなかったが、軽く二メートルを越える巨躯に加えて馬をも簡単に両断してしまいそうな大剣を装備していた。
「今までこの俺を捕らえようとした騎士たちはみんな葬ってきた。おまえもそのうちのひとりにしてやる」
「だが、その中に聖騎士はいなかったのだろう?」
「そうだな。――だからおまえがその記念すべきひとり目になってもらう。聖騎士をぶっ殺したとなったら俺の武勇伝もさらに拍がつくからなぁ」
大剣の先をこちらに向けながら言い放つ大男。
――隙だらけすぎないか?
「死ねぇ!」
一気に俺を片付けようと大男は剣を振るが、
「――あれ?」
すぐに異変を察知して動き止まる。
「どうした? ご自慢の大剣に何かあったか?」
「バ、バカな!?」
大男の手にしていた剣は真っ二つに折れていた――いや、俺が自分の剣で折ったのだ。ヤツにはその瞬間が見えていなかっただけ。
いや、ヤツだけでなく、このギルドにいる他の連中も追えていなかったよう。
ちなみに大男の剣の先端部分は天井に突き刺さっている。
「観念するんだな」
「ちょ、調子に乗るなよ!」
剣がダメと分かったら、今度はパワー勝負に打って出る。
体格差で自分の方が有利と踏んでの判断なのだろうが……それだけで圧倒されていては聖騎士の名が泣くってものだ。
迫りくる大男のパンチをかわしつつ足を引っかける。
勢い余ったヤツはそのままギルドの壁に頭から突っ込んでいった。
あれは痛いな。
「ぐ、ぐおぉ……」
「これ以上は時間の無駄だ。大人しく指示役を吐け」
「う、うるせぇ! おまえら全員で襲いかかれ! 聖騎士を倒して名をあげろ!」
「お、おぉ!」
「やってやるぜ!」
「これだけの数がいるんだ! 必ず倒せるぞ!」
まだ実力差を理解できない者たちが束になってかかってくるが――やれやれ。
結局こうなるのか。
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