第81話 廃村調査
ついにたどり着いた廃村。
かつて魔鉱石の採掘で賑わっていた時はかなりの人数が住んでいたと思わせるだけの家屋の数――だが、今となってはそのどれもが廃墟となっていた。中には長年にわたって雨風にさらされ続けた結果、原形をとどめていないほど朽ち果ててしまっているところもある。
「人の気配はまったくないな」
「ああ」
ゲイリーと肩を並べてゆっくりと前進しながら状況の確認を行っていく。
それにしても、不思議な村だ。
ただ真っ直ぐ歩いているだけなのに、まるでここだけ時間の流れから逸脱しているような感覚に陥る。そのうち、目の前に映るすべての景色が虚構なのではないかと疑いを抱くようになっていた。
そんな調子で進んでいくと、家屋から魔鉱石の加工などを行う作業場や鉱夫たちの休憩所と思われる建物が目に付くようになってくる。それからしばらくして行き止まりとなった。
――厳密に言えば、そこはとてつもなく巨大な扉によって進行を防がれている。恐らくこの先は坑道になっているのだろう。
「どうやらここまでか」
「この扉……どうやって開けるんだろうな?」
興味深げに扉を見つめるゲイリー。
本人はそう言っているが、大体の見当はついているはず。
「鍵がいるみたいだな」
「えっ? ――ああ、そこに鍵穴があったか」
今気づいたのかよ。
「しかし、鍵なんてどこにあるんだ?」
「ここへ来る途中にいくつか建物があっただろう? きっとそのうちのどれかにあるんじゃないか?」
「おいおい……いくつあったと思ってんだよ。そこをしらみつぶしに探していたら何日かかるか分からんぞ?」
「なら、
「この大陸には少ないからなぁ……」
ここへ来て手詰まりとなった俺たち。
だが、魔鉱石がまだ存在しているかどうかを調べるには、もっと鉱脈に近づく必要がある。なんとしてもこの扉の向こうに行きたいのだが――と、
「わ、私に任せてください」
アミーラは手を挙げてそう言うと、扉へと近づいていく。そしてゆっくり手をかざすと、あの立派な魔法の杖が閃光とともに現れた。
「この程度の鍵でしたら――えいっ!」
軽く杖を振るうと、青白い光が扉を包み込んでいく。
すると、鍵が自然に外れて扉が開き始めた。
「す、凄ぇ……」
茫然と立ち尽くしながら率直な感想を漏らすゲイリー。
さっきのは解錠魔法か……本職の
とにかく、これで道はできた。
あとは進むだけだ。
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