第82話 本領発揮

 あっさりと魔法で解錠を成功させるアミーラ。

 本職の解錠士アンロッカーも真っ青の手際の良さだが……さすがはあのマクリード家が推薦するだけのことはある。正直、ここまで実力の片鱗が見えず、もしかしたら騙されているのかもしれないと思い始めていたところだったからな。

 とにかく、よくやってくれたと声をかけよう――そう思っていたら、


「お見事ですよ、アミーラちゃん」

「えへへ~」


 先にエリナがアミーラをベタ褒めしていた。

 完全に溺愛しているなぁ。

 まあ、あれほど素直で可愛らしい子がいてくれたら癒されるんだろうけど。


 それはひとまず置いておくとして、今は魔鉱石だ。

 重厚な扉を開けると、その先は真っ暗。

 数メートル先さえ見えないほどの闇が広がっていた。


「この暗い中を進むのはなかなか度胸がいるな」


 ゲイリーが指摘したように、ここまで暗いと進むのが怖いな。凶悪なモンスターが潜んでいないとも限らないし、何より足場が悪かったり、崩落の危険性もある。


 すると、


「お任せください!」


 解錠魔法の成功で波に乗るアミーラが小さな手で胸をトンと叩き、一歩前へ。


「暗い場所を明るくする照明魔法があります。これがあれば進むのにも困らないはずです」

「そいつは心強いなぁ。さっきの解錠魔法といい、やはり将来有望な魔法使いとして紹介されるだけのことはある」

「そ、そんな……あっ、で、でも、まだ他にもあるんです。探知魔法でこの辺り一帯を調べてみたんですが、モンスターの存在も崩落の危険性も認められませんでした」

「素晴らしい!」


 子どもたちの相手に慣れているゲイリーはさらにアミーラを乗せていく。あいつは褒めて伸ばすタイプらしいな。


 ――って、探知魔法?


「アミーラ」

「なんでしょうか?」

「その探知魔法で魔鉱石が埋まっていないか調べられるんじゃないのか?」

「もちろんできますよ」

「じゃあ、この辺りに反応は?」

「まったくりありません――あっ」


 ……気づいてしまったか。

 モンスターどころか崩落の危険性まで察知できるほど高性能に進化した探知魔法――だからこそ、魔鉱石の反応がないということはつまり……ここにはお宝が眠っていないという目をそむけたくなる事実が証明されたというわけだ。


「ま、まってください! まだ鉱山のすべてを調べたわけではありません!」

「そうなのか?」

「はい! 有効な範囲を広げるためにも、この道を進みましょう!」


 まだ希望は残されているというわけか。

 しかし……出鼻は挫かれた格好になってしまったな。

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