東日本大震災
こちらの地震は13年前であるし、記憶されている人も多いだろう。
当時は京都に住んでおり、しかも結婚していた。
今は独り身だけど。
その日、3月11日は、職場のシフトの関係で休暇になっていた。
元嫁の方も職場仲間と出かけており、自分は一人パソコンとにらめっこをしていた。
そして、揺れた。
大した揺れではなかったが、妙に長い。
こう言う揺れは距離の離れた場所で。割と大きめな地震が発生したと言う挙動であり、すぐにパソコンの画面の天気予報のそれに切り替えた。
そしたら案の定だ。
東北地方で巨大地震が発生しており、その規模は未知の領域であった。
規模自体は後に正確な数字が出たが、M9という訳の分からない数字だ。
阪神大震災でM7,3。
マグニチュードは1上がる毎に30倍のエネルギーであるから、阪神大震災ですら比較にならないほどの大規模震災となるのは確定した。
そして、即座に元嫁に電話した。
なぜなら、元嫁の出かけていた先は、長島スパーランドだったからだ。
「津波が来るぞ! さっさとそこから離れろ!」
焦る自分に、元嫁の態度はのほほんとしていた。
まあ、実感がわかないのも無理はないが、その時の自分には『明治三陸地震』のことが脳裏に浮かんでいた。
日本に甚大な被害を巻き起こした地震としては、まずは『関東大震災』、次いで『阪神大震災』を思い浮かべる。
前者は被害の大きさが、後者は記憶に新しいからであるが、『明治三陸地震』について知る者は『東日本大震災』が発生する前ではあまりいない。
自分にしても、大学時代に物書きのネタ探しに、図書館で本を読み漁っていた知識を持っていたからであり、他の人が知らないのも無理はない。
ちなみに『明治三陸地震』の震度は推定で“4”である。
なんだ、小規模じゃないかと思われるかもしれないが、それは震源地がかなり沖合であったからであり、押し寄せてきた“津波”に関して言えば『東日本大震災』に匹敵する。
揺れが小さかったから誰も避難せず、気付いた時には津波は目の前という絶望的状況。
結果、地震による被害はなくとも、津波による被害で死者行方不明者合わせて2万2千人に達する被害となった。
今よりずっと人口が少ないにもかかわらず、この被害だ。
そのデータが頭にあった自分と、元嫁の温度差が反応の差となって出た格好だ。
まあ、さすがに長島まで被害をもたらすほどではなかったが、それでも油断をしてはならないとも感じた。
実際、波に呑まれる人や車の映像を何度も見て、津波の恐ろしさを脳裏に焼き付けたからだ。
『東日本大震災』の時は京都にいたので、自分には特に被害は出なかったが、あの衝撃的な映像の数々はなおも記憶の中に刻まれている。
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