ティータイム

為景「す、すげぇ…」


中は、そこそこ広い。

普通な屋敷の中の風景だった。


「これ矢助が作ったの?」

矢助「うーん、元からあったやつを改良した?感じかな」

吉治「すごい、普通に住める広さだ。」

矢助「でしょ!」


矢助は自慢げに鼻を高くする。


矢助「あ、そうそう。着替えとお茶持ってくるね!暫く待ってて!」


矢助はそう言い残すと奥の部屋に入っていった。


はあ〜…なんか、隠れ家みたいでいいな。

こう言うのちょっと憧れてたかも。


為景「あいつ、普通に優しい奴だったな。」


疑った事を申し訳なさそうに為景が呟く。


吉治「まあ、忍びは普段から隠密行動してるわけじゃないし。本心で助けてくれたんだよ。」

「だから雨が止むまでいさせてもらおうよ。」

為景「だな。」


三人で会話をしてるとお盆にお茶を乗せる慌ただしく矢助がやってきた。


矢助「はい!お茶。雨だから寒かっただろうし。」

「ありがとう。」

為景「ふぅ…あったまるな。」

吉治「そうだね。」

矢助「着替えはあそこに置いたあるから!」

「ごめんね、色々と。」

矢助「いいんだよ、困った時はお互い様だし。」


矢助も俺たちの前に座りお茶を飲む。


矢助「あ、そうそう。」


こちらを見ると少し近づき座り直して改めて質問してきた。


矢助「京のどこら辺に行くんだ?」


質問を聞いてから暫くすると為景が口を開いた。


為景「聚楽第。」

矢助「え?聚楽第?」


矢助は疑問に思ったらしい。


矢助「聚楽第って関白様が住んでるところだろ?何しに行くんだ?」

吉治「関白様に呼ばれてるんだ、だから。」

矢助「関白様に?」


どうやら矢助は俺たちが武士の子だと気付いていないらしい。


矢助「もしかしてさ。」

「ん?」

矢助「三人は武士とか?」

為景「まだ元服してない奴もいるけど一応。」

「気付いてなかったの?」

矢助「てっきり、旅でもしてるのかなーと服装的に…」

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