木の下で

「うぅ…雨宿りできそうな場所がない…」


寒い…いきなり気温が下がったな…


為景「大丈夫か?吉治。」

吉治「大丈夫。でも流石に寒いね。」


吉治は両手を擦り合わせながら歩いていた。


「早く見つけないと。」


そうは言っても何も見当たらない。

このままじゃみんな風邪ひいちゃうって。


「うーん…」

吉治「とりあえず、あの木の下に行こう!」


吉治が指した方には他の木より一回り大きな木があり、俺たちは急いで木の下に走っていった。


為景「あー…結構濡れちゃったな。」

「そうだね…」


雨止まないな…止むどころかどんどん強くなってる気がする。


吉治「ん?」


吉治が何か気配でも感じたのか木をじろじろと見ている。


為景「どうかしたのか?」

吉治「うん…でも何でもないかも…」

為景「そっか。」


一瞬きの方を向いていたが何もないと言うので空の方を見直すと木からひょこっと頭を出し誰かが覗いていた。


「うわっ!」


思わず驚いて尻餅をつく。


吉治「大丈夫!?」


吉治が驚きながら俺を心配していると謎の人物と為景が対峙していた。


為景「誰だよ。お前。」


その人物は忍び、いわゆる忍者のような格好をし唯一見える目はギラギラと笑っているように見える。


矢助「あぁごめんね。脅かすつもりはなかったんだ。」


その人物は頭巾を脱ぎ素顔を出した。


為景「忍び…?」

矢助「そうだよ〜。」


に、忍者!?何でこんなところに…てかそんな分かりやすい格好なんだ?


吉治「忍びが何故ここにいるんだ?」

矢助「雨宿りだよ、雨宿り。」


忍びは俺たちが警戒している事を察したのか経緯を説明してきた。


矢助「俺は矢助。甲賀の忍びさ!家に帰ろうと思ったら雨に降られたから君たちと一緒で雨宿りしてるんだよ。」

「そうなんだ…」

矢助「別に誰かを探りにきたわけでもないし、そんな警戒しないでよ。」


警戒しないでと言われても…いかにも怪しい登場の仕方だったじゃん!!


俺が矢助と話していると為景と吉治が後ろからポカンと見つめている。


「二人とも?」

吉治「うん?」

「どうしたの?矢助の事警戒してるの?」

為景「だって忍びなんだろ?警戒したくなるって」

「まぁ…気持ちはわかるけど、そんな悪そうには見えないよ?」


危害も加えられてないし、悪いことは考えてなさそう。


矢助「ねえねえ。」

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