いざ、聚楽第へ②

吉治「みんな揃ったから行こうか?」

「うん!」

為景「行くか。」

久賀「ちょっと待って下さい!!」

「?」


久賀がこちらに向かったって慌ただしく走ってくる。手には何か持っているようだ。


「久賀?どうしたの?」


俺が声を掛けると久賀は手に持ったおにぎりを渡してきた。


久賀「是非みなさんでお食べ下さい!」


そう言うとおにぎりを丁寧に布で包んだ。


「ありがとう。久賀。」


そんな遠くないのに、わざわざ有難い。


為景「へ〜うまそ〜。」

吉治「美味しいよね。」


二人もまじまじと貰ったおにぎりを見てくる。


「お腹減ったらみんなで食べようね!」

為景「悪いな。」

吉治「僕らの分まで…ありがとうございます。」

久賀「いえいえ、頑張って下さいね!」

「うん。」


久賀からおにぎり貰ったし行くか。


「じゃあ、行こう…」

庄次郎「あ!八郎様!」


俺の言葉を遮るように庄次郎が木の上から声をかけてくる。


「しょ、庄次郎?」

庄次郎「八郎様〜!行ってらっしゃいませ〜!」


木の上から話しかけてきてるよ…一体何してるんだ?


「庄次郎!何してるの?」

庄次郎「鍛えてるんですよ!武士ですから!」


庄次郎は木の太い枝の上で逆立ちをしながら片手でピースをしてきた。


「そう…頑張ってねー!」


毎日愉快でいいよ、この家中。みんな優しいし


「二人とも行こうか。」

吉治「うん。」


三人は見送る八郎の家中たちに手を振り出かける。


為景「ってか、徒歩なんだ。」

吉治「いいじゃない、関白様からは明日の呼び出しなんだし。のんびり行こうよ。」

為景「明日?初耳なんだが。」

「私も初めて聞いた。」


いや〜のんびり歩くのも気持ちいな〜。

少し冷え込むけど上着を着れば丁度いい。


三人でしばらく雑談をしながら歩いていた。


吉治「それでさ〜」

為景「ん?」


為景が急に立ち止まって空を見る。


「どうしたの?」

為景「雨が降ってきた。」


俺も手を出して確かめる。


「確かにまだポツポツだけど。」

吉治「見て。あっちの雲。これから雨がひどくなりそう。」

「どうする?雨宿りできる場所探す?」

為景「そうだな。」

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