静かな屋敷

吉治「そうだ、忠利って普段は屋敷にいるの?あんまり見かけないからさ。」

忠利「ああ、僕は普段は京の愛宕山下坊福寿院ってとこにいるんだ。」

「愛宕山?」

「うん、勉学をしたくてさ。」

為景「勉学の為だけに通ってるのか?」

忠利「いや、通うと言うかあっちにいつも居るんだ。」

吉治「この為にわざわざ帰ってきてるの?」

忠利「そう。」

「勉学に対するやる気が凄いね。」

忠利「そんなことないよ、いずれ父上の跡を継いだ時に恥ずかしくないようにしないと。」

為景「へ〜、いいじゃん。」

吉治「真面目だなぁ」


まぁそうだよな、自分の代で家が潰れるとか嫌だよな。

江戸時代も当主が無能だったり跡継ぎいなかったらお家潰しだからな。


そうか、この三人は嫡男なのか。

大変だなぁ…


忠利「ついたよ。」


話しているとあっという間に着いていた。


忠利「ほら、上がって。」

「お邪魔します。」


俺たちが屋敷に上がると忠利を呼ぶ声が聞こえた。


康之「若様ー!!」

為景「忠利、呼ばれてるぞ。」

忠利「康之?どうかしたの?」

康之「いえ、おかえりなさいませ。」

忠利「ん?何もないの?」

康之「?ありませんが…」

忠利「あ、そう。」


どういう会話なんだ?何かあったのか?


「何?今の会話?」

忠利「別になんでもないよ。康之ってさいつも焦ってる感じだから本当に焦ってるのか、ただそういう風に見えるのかわかんないんだよね。」

「あ、そうなんだ…」


そういうキャラなんだ、康之殿は…


忠利「じゃあ、僕の部屋に行こう。」


忠利が先導して僕たちを部屋へ案内した。


忠利「ちょっと待っててね、お茶持ってきてもらうから。」


忠利は部屋に着くと家臣にお茶を頼む為部屋を出て行った。


為景「・・・。」

吉治「ねぇ、二人とも。」

「どうしたの?吉治。」

吉治「忠利の屋敷凄い静かじゃない?」

「え?」

為景「こんなに誰ともすれ違わないことなんてあるんだな。」

「何?どういう事?」

吉治「分からないけど、不思議だなぁって」

「そう…」


微妙な空気のが漂い始めると忠利が帰ってきた。


忠利「みんな!お待たせ。」

「おかえり。」


・・・


忠利「どうかした?」


黙り込む吉治と為景の代わりに俺が口を開く。


「なんか、静かだなーって屋敷がさ」

忠利「え?あぁ〜、最近さ家臣達の間で体調を崩す人が多くてさ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る