三男坊の知識
吉治「そう?良かった!」
吉治は微笑むと反対側を指差してきた。
「ん?」
俺が指した先を見ると為景が腕を組み目を閉じて微動だにしてなかった。
ね、寝てる?もしかして?
俺が顔を覗き込もうとすると為景がこちらを見て
為景「寝てない。」
「あ、うん。そうだよね。」
良かった、寝てるのかと思った。
源三「八郎。」
「は、はい?」
当てられた?
源三「何故足利氏の時代に農業が発達したか分かりますか?」
喋っていたから当てられたのだろうか、吉治がバツが悪そうな顔をしている。
「えっと…」
みんなの視線が俺に集まる。
「うーん、人口が増えて人手が多くなったのと。貨幣経済が発達したからですかね?」
だいぶざっくりだけど。
源三「ほう。詳しく説明してみなさい。」
「その時代は人口が増えた事でその分消費する量が多くなり食糧確保の為に農地が広まっていき、河川の治水だったり山などの伐採に人手が必要です。そうすると報酬を渡して、労働者を集めるようになり、報酬は貨幣で支払われるようになるから貨幣経済が発達しそれに伴って農工業が発達するから…ですかね?」
…どうかな?
先生はしばらく黙った後口を開いた。
源三「そうだ。よく知ってるな!」
「あ、ありがとうございます。」
為景「流石、やるじゃないか!」
為景が笑いながら肘でつついてきた。
勝典「お〜、あやつ中々やるな。」
遠い席だった勝典も感心していた。
そんなこんなで講義は終わり、俺の元に人が駆け寄ってきた。
忠利「やあ、こんにちは。」
「あ、こんにちは!」
誰だろ。
忠利「さっきの説明凄かったよ!もしかして勉学が好きなの?それとも読み物が好きなの?」
「私は読み物が好きで、勉学の方はちょっと…」
忠利「あはは!そうなんだ!でもその知識量は尊敬するよ。」
「そんな、大袈裟ですよ…」
忠利「いやいや!本当だよ。」
本当にそんな事ない。読書は好きだけど分からないやつは分からないし。
「そ、そうかな?ありがとうございます。」
お礼を言う俺をみて忠利が何かハッとしたような表情をして
忠利「そういえば、名乗ってなかったね!ごめんね、僕は細川忠利。細川忠興の三男坊さ。」
「私は石田八郎。石田三成の三男です!」
忠利「じゃあ、三男坊同士仲良くしようね!」
「はい!こちらこそ。」
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