利用価値

利家「お主は…」


利家様は目を細くしながら俺の顔を見てきた。


利家「ああ!治部の倅か。」

「はい、八郎にございます。」


俺は深々と頭を下げた。


「ははっ!治部の倅が来てくれるとはな。よく学んでいけ。」

「はっ!」


俺が利家様と話していると続々と人が入ってきてあっという間に満席になっていた。


へぇ〜、こんなに人が来るんだ。殿下が認知しているだけあって凄いな。


為景「そろそろ始まるぜ。」


為景が小声で話しかけてくる。


スーッ


奥の襖が開き先生らしき人物が入ってきた。


源三「みなさん、おはよう御座います。」


((おはようございまーす!!))


源三「今日は源頼朝築いた鎌倉から足利氏が治める時代そして乱世までの農業の変化についてやろう。」


うわっ、ガチの授業だ。

しかも1番嫌いな講義スタイル。

眠くなるんだよなぁ…

でも、耐えろ。頑張らなくちゃいけないんだ。


源三「鎌倉の時代は蒙古襲来の前後から農業が発達してきたんだ。だがその頃、畿内や西の方では裏作として麦を育てる事が広まっていったんだ。」


あー、二毛作ね。懐かしい、授業でやったな〜


源三「そして育てている作物に与える肥料には草を刈って田に敷きこむ刈敷や、草木を焼いて灰にした草木灰が利用されていて、その原料には山の草や木が使われていたんだ。それと西では広く飼育されていた牛を使って畑を耕す牛耕が広がって行くんだね。」


はぁ〜そうなんだ。


しばらくすると話は足利氏の時代。いわゆる室町時代の話になっていった。


源三「簡単に表すとこの時の特徴はより民衆の生活と結びつき、土地の生産性が向上、育てる作物もそれまでより種類が増えたこと。排水施設などの整備も行われたから畿内では三毛作もできるようになったんだ!」


勉強に対する意欲があるかは別として真面目に講義を聞いていた。すると吉治が横からこっそり小声で喋ってきた。


吉治「どう?」

「いいね、こういうの。」


自分で言って何がいいのか分からないが、ここに来ればいろんな人と関われる。しかも話聞いてる分には退屈しないからめっちゃいい。


俺の目標の為には十分使える場所だ。

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