太閤秀吉とは

「それは無理にございます。」


部屋にピリピリとした、誰でも感じるような緊張感があった。


秀吉「ほう?」


威圧感のある声で上から俺を見下ろしてくる。

俺はまっすぐ秀吉を見た。

しばらく張り詰めた空気が部屋を満たす。


秀吉「はっはっはっはっは!!」


秀吉が大声で笑いだしたのだ。


な、何だ?いきなり....


秀吉「冗談じゃ、冗談。」


冗談って…あんた数年後朝鮮に出兵するじゃないか。全然冗談になってないって…


秀吉「わしに面と向かって無理だというとはな!その勇気にあっぱれじゃ!」


この人は、何を言ってるんだ…怖いって


「冗談でございましたか!」


俺は秀吉に笑って見せる。


秀吉「本気だと思ったか?」

「いいえ、まさか。冗談だと思いましたよ。」


絶対本気だよ。この人。


秀吉「お主、今年で5つなんじゃろ?優秀なものはいるがここまで若いとはな!」


ん?5つ…?


俺そんな幼かったのおおお!?


衝撃的すぎる。でも俺の兄弟の年齢を考えたらそうか....


「あ、あの!殿下。」

秀吉「なんじゃ?」

「私....殿下の下で働きとうございます!!」


年齢なんか関係ない、関ケ原までのタイムリミットは迫ってきてるんだ。

一刻も早く政治に携わりたい。

そこまでいかなくても秀吉の近くにいれば情報が入ってくるはず。


秀吉「うーむ、そうじゃのお...」


どうだ?


秀吉「今はまだダメじゃ、お主には秀頼に仕えてもらいたかったのだが。その心意気は受け取っておこう。」

「お願いします!殿下!必ず役に立って見せます!!」


お願いだ…本人に直談判できる機会なんてない。無駄にしたくない。


「なら、利家殿の屋敷に行ったらどうじゃ?あそこで他の家の跡継ぎたちと学べる。そして元服したらじゃな。」


元服…まだまだ先だな。しょうがない、やるしかないか。


「分かりました、ご無礼をいたしました。」

秀吉「よいよい」


秀吉は上機嫌で頷いていた。


秀吉「お主の今後、楽しみにしているぞ。」

「はっ。」


全く…腹の中が読めないやつだな。


俺は一礼し秀吉がいる部屋からでるのであった。

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