秀吉の考えを阻止せよ

為景「ほお〜、八郎のやつ殿下に呼ばれてるみたいだな」

吉治「みたいだね、まあ、あの千歯こきは広まれば効率上昇間違えなしだし。」


二人はこっそり追いかけて話を聞いていたのだ。


左近「全く…追いかけてくるとは…」

為景「八郎が帰ってくるまで待っていても良いですか?聞きたいことがあるのです。」


為景が左近にお願いをする。


左近「はあ…それは構わないが…」

吉治「ありがとうございます!」

為景「明日だから今日のうちに聞かないとな」

吉治「だね。」



それからしばらくして。


はぁ〜緊張する〜


俺は父上と秀吉が待つ部屋へ足を運んでいた。


三成「大丈夫か?」

「は、はい」


やっぱり空気感が違うよな。だが押し負けちゃダメだ、今日はとりあえず千歯こきの話をしつつ秀吉の考えを引き出そう、秀吉の考えが今後を左右するんだ。


三成「よいか?くれぐれも粗相のないようにな?」

「はい…」

三成「大丈夫だ、お主の功を讃えるだけだ。」

「ですよね。きっと」


この会話を最後に沈黙が続く。

そして部屋の前についたらしい。


三成「よいか、ここで待っていろ。」

「父上は一緒ではないのですか?」

三成「ああ、二人で話したいとのことだからな。」

「分かりました…」


父上は頑張れよと肩をポンと叩くと出て行く。


少し経つと足音が聞こえてきた。


きたか。


俺は頭を下げて待つ。


スーッと襖を開ける音が聞こえる。


秀吉「表を上げい」

「はっ」


ゆっくり顔を上げ、上段の秀吉を真っ直ぐ見る。


秀吉「三成ににて良い目じゃな。」

「ありがとうございまする。」

秀吉「そう固くなるな、近う寄れ。」


秀吉が手をこまねく。


俺は少し礼をして立ち上がり、そーっと近づき座る。


秀吉「お主、千歯こきと言う農具を作ったらしいの」

「はい。」

秀吉「うむうむ。」


秀吉は一人で頷きしばらく何も言わなかった。


秀吉「いいのぉ〜、これで生産率も上がるわい。」


なんだ?雰囲気が変わった?


秀吉「わしはのぅ。また明を攻めようと思うておるのじゃ、この前は兵糧が足りなくて苦労したわい。」


秀吉、やはり明を攻めようとしてるのか。阻止しなければ。


「千歯こきを使って生産率を上げ、兵糧を溜めようとお考えですか?」


秀吉「そうじゃ、そうすれば勝てる。」


無理だ、勝てない。


「それは…」

秀吉「?」


「それは無理にございます。」

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