この時代にきてから

「ふあ〜、気持ちいい!」


朝の散歩なんて久しぶりだ。


郷舎「ハハハッ!そうでございましょう。朝の散歩は格別気持ちがいいですからな!」

「郷舎は毎日散歩してるの?」

郷舎「いえ、ですが毎日散歩か素振りと決めておるのです。」

「いいね、健康的で。」

郷舎「そうでございましょう?」


郷舎としばらく雑談しながら歩いているが、やっぱり寒いな。所々霜がある。これ踏んで歩くのよくやってたな。


郷舎「ふう…」


なんか、ここ最近みんな目の下のクマがすごいんだよな。庄次郎に聞いても大丈夫ですよ!しか言わないし。忙しいのかな?


「ねえ、郷舎。」

郷舎「何でございましょう?」

「最近家中の皆がすごく疲れているようなんだけど、何かあったの?」

郷舎「あーそうでございましょうな。」


郷舎が少し間を開けて口を開く。


郷舎「ルイス・フロイス殿はご存じですかな?」

「うん、知ってるよ。」

郷舎「この前再び来られましてな。殿をはじめ皆もてなす為に頑張っておるのです。」


へえ〜ルイス・フロイスの再来日か。確か1595年だったよな、じゃあ今は1595年なのか。この年といえば殺生関白の切腹事件が1番有名だよな。


「そうだったんだね。いつもお疲れ様。」

郷舎「なんのなんの、殿に比べたらさほど大変ではありませぬ。」

「でも忙しいんでしょ?」

郷舎「殿のためと考えたら大変でも忙しくもございませんな!」

「す、すごいね…郷舎」

郷舎「わしだけではござらん。皆殿のためを思っておりまする。」

「父上もたいそう心強いですね。」

郷舎「我らも殿が心強いですぞ!ハッハッハッハッハッ!」


殿様と家臣ってこういう関係なのが望ましいよな。望ましいと言うか、見てて感心しちゃうよ。

蒲生郷舎。関ヶ原の戦いまでちゃんと仕えてたんだもんな。左近も庄次郎も。凄いなみんな。

でも、1595年。関ヶ原まであと5年。

あと5年しかないのか。

こんな優しい人達があと5年でバラバラに…


郷舎「そろそろ戻りましょうか八郎様。」

「うん。」


…歴史って変えられないのかな?

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