石田家の日常

うた「八郎。」

「母上?」

うた「もう夕食の時間になるわよ。」


そうか、もう夜なのか。気づかなかった。


「はい、すぐ行きます。」


俺は庄次郎の方に駆け寄り


「もう遅いからやめにしよう。また明日やろう。」

庄次郎「そうですね、また明日。ほら、母上がお待ちですよ。」

「でも片付けしないと…」

庄次郎「大丈夫ですよ!やっときますよ。」


庄次郎は右手でグーポーズを作り見せてきた。


「庄次郎…じゃあお願いしていいかな?」

庄次郎「もちろん。」


庄次郎は深々とお辞儀をすると片付けをはじめた。


うた「行きましょう。八郎」

「はい!」


重家「遅いぞ!」

重成「おつかれさま。」

佐吉「あにうえだ!」


各自俺に声をかけてきた。


「父上。遅くなりました。」

三成「よいよい、だが随分と疲れた顔だ?。」

「ちょっと…工作してまして…」

三成「工作?」

「えっと…そんな大したものは作ってないですよ。」

三成「そうなのか…?とりあえず腹は減るだろう。早く食べなさい。」

「はい。」


千歯こきを作ってるって言わない方がいいよな。変に目立つのはやだし。


「いただきまーす。」


うんうん、やっぱ美味しい〜この素朴な味の漬け物が特に!この時代の食べ物も美味しいな〜。

そういえば、お母さんがつけてくれた漬け物も大好きだっな…元気にしてるかな…みんな…


俺がそんなことを考えていると重成兄上が話しかけてきた。


重成「八郎は漬け物が好きだよな。」

「はい、大好きです!」

重家「あげるよ!俺の分!」

佐吉「ぼくもー!」

「え?いいんですか?佐吉も」

重家「当たり前だろ、あげるって。」

「でも二人の分ですし…」

重成「いいじゃないか、もらいなよ。」


重成兄上が俺に諭すように言い聞かせる。すると二人は俺の器に漬け物を乗せた。


「あ、ありがとう!!」

重家「いいんだって!」

佐吉「あにうえにあげるよ!」


そんな様子を見ていた三成とうたは。


うた「相変わらず仲が良いこと。」


うたは嬉しそうに笑っている。


三成「こんなにも兄弟仲が良いとは、見ている私たちも嬉しくなる。」

うた「そうでございますな。」


二人は三兄弟をずっと見守っていた。


最近は寒い夜が続いていたが、今日はいつもより暖かい気がした。

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