天才幼子

吉継「八郎。よく来たな。」

「あ、こんにちは。」


大谷吉継か…なんか…想像より爽やかな感じの人だな。


笑顔で返事をすると横にいた三成が八郎をみて

三成「八郎?如何した?」

「父上!母上がこれを…」

八郎が三成に小さい小箱を見せる。

三成「おぉ、これか、忘れていた。」

三成はそれを受け取ると少し頭を撫で

三成「すまんな、八郎。皆と遊んでいただろうに。」

「いえそんな、私は大丈夫です!」

その様子を見ていた吉継はふふっと笑っていた。

そして八郎は二人が日本地図を開いていることに気がついた。

「何をされていたのですか?」

日本地図を見ながら質問する八郎に

吉継「あぁこれはな、各大名がどこに領地を持っていてどのくらいの石高かみていたのだ」

三成「仕事でもあるし、私たちが気になるだけでもあるんだがな」

「そうだったんですか…」


へ〜、簡易な日本地図だけど大名達がどこに配置されてるか分かり易いな。


日本地図をじっと見つめる八郎に

吉継「こういうの好きなのか?」

「ま、まぁ好きと言うか…」

戸惑っている俺に父上が捕捉した。

三成「八郎は前からこう言う政治的なものに興味があるらしいからな」


え?俺そんな子供なの?まだ相当幼いはずだろ…


吉継「そうなのか、流石は治部の息子だな」

三成「どういう意味だ?」


わぁ、この二人やっぱめっちゃ仲良いんだな、なんか良いなあ…


吉継「関心があるのは良い事だ。何か気になる事はあるか?教えよう」

仕事を邪魔しちゃいけないと思っていた八郎が申し訳なさそうに三成の方を見た。すると

三成「なんでも聞け。気になる事を」

三成が優しく促す。

「ありがとうございます!」

礼を言うと改めて日本地図を見る。

「徳川殿の領地。すごく広いですね。」

吉継「徳川殿は豊臣家臣の中で1番の石高の量だからな」


すごいな、圧倒的だもん。関東に移されてから秀吉に力を削がれたとか言われてたけど


「関東なんて、京都と大坂と適度な距離を保ちつつ、物流を活用し力を蓄えるのに最良の土地。悪い場所じゃないよなぁ…」


思わず声に出していたことに気づかず、地図を見ていると。


二人がびっくりしたような顔で黙ってこちらを見ている。


やばっ、声に出てたのか?流石にまずかったか…どうしよ…


「あ、あはは…」

俺が笑って誤魔化すと。


吉継「お主、本当の幼子か?凄いぞ」

三成「自分で考えたのか?」


ま、まぁそうなるよね。当然の反応だよな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る