刑部殿の屋敷

庄次郎「奥方様に何を頼まれたのですか?」


庄次郎は単純な疑問を八郎にする。八郎は持っていた巾着に包まれている小箱をみせる。

「これを父上に届けてほしいと」

庄次郎「へ〜そうなんですね〜」

興味ありげに小箱を見てくる。

庄次郎「何が入ってるんでしょうね?」

「さぁ…私にも…」

まじまじと箱を見つめた後庄次郎が

庄次郎「中に何入ってるか気になりません?」

と悪戯な笑顔を向けてくる。


なるほど…こういう感じのお人なんだな、


「じゃあ、開けてみますか!」

とノリノリに巾着を解こうとすると

庄次郎「え?ちょ、ほんとに開けるんですか?」

行った割にはドキドキしている様子だったので

「冗談」

と言って庄次郎を見て笑うと

庄次郎「おー、八郎様もなかなかやりますね」


よくわからない事で庄次郎と盛り上がっているとあっとゆう間に刑部殿の屋敷に着いたらしい。


庄次郎「つきましたよ、ここです。」

「ありがとうね、庄次郎。」

庄次郎「とんでもないです。私はここで待ってますね。」

「うん、行ってくる。」

庄次郎に軽く手を振り、屋敷に入っていく。


あれ?誰もいないな?


「すみません!誰かいませんか?」

誰もいないところに呼びかけていると返事が聞こえてきた。

五助「はい?何用でしょうか?」

ひょこっと顔を出した人がいた。

「石田八郎にございます。父上に用がありまして…」

五助「あぁ!石田様のご子息の!」

ぽんと手を叩くと

五助「こ、こちらへどうぞ!ご案内します。」

深々と頭を下げる五助に

「ありがとうございます。えっと…」

五助「ゆっ、湯浅五助にございます。」

「湯浅殿、ありがとうございます!」


と笑いかけると俺が名乗ってからガチガチに緊張していた五助も笑ってくれた。


「父上と刑部殿は二人で一緒にいらっしゃるのですか?」

五助「えぇ、一緒に仕事をしておられますよ。」


な、なんか、仕事してるとこに行くの緊張するな…


「邪魔になりませんかね?入っていって…」

五助「大丈夫ですよ、お二人ともお優しいですし。怒ったりしませんよ」

二人がいる部屋に着いたのか、部屋の前で

「殿、八郎様がお父上に用があるとのことでお連れしました。入ってもよろしいでしょうか?」


あぁ、入れ。


中から爽やかな声が聞こえる。


「失礼します。」


スーッとゆっくり襖を開けると。


吉継「八郎。よく来たな。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る