優しい家中

あれ?父上の所までどうやっていくんだ?


あれからとりあえず歩いてはいるが父上や母上、人気すらない


まずい、聞いとけばよかった…何してるんだ…完全迷子だよ…


しばらく歩いているとハア!ハア!と誰かが素振りをしている音が聞こえてくる。

「左近か?」

その声の方向に行くといたのは…


郷舎「おぉ!八郎様!」


ん?誰!?左近かと思ったら…


郷舎「こんな所で何をしているのですか?素振りをしていたらいきなり飛び出てくるのですから、いやー、この郷舎も驚きましたな!アハッハッハツ!」


なんか、また元気そうなやつが増えたな…

郷舎か、おそらく蒲生郷舎。蒲生家を出奔して石田三成の家臣になった人だよな。

最後は関ヶ原で…この人も死んじゃうのか…


しばらく無言の八郎の顔を郷舎が覗き込んでくる

郷舎「八郎様?」

「あぁ、いや何でもないよ。気にしないで!」

郷舎に笑顔を向け続ける。

八郎「実は母上に頼まれ事を預かって、父上のところに行きたいんだけど。行き方がわからなくて。」

そうな話して郷舎の方を見ると

郷舎「おぉ!なるほど!そう言う事でしたらこの郷舎がご案内いたしましょう!」


今はこれを頼るしかない。


「お願い、ありがとね郷舎」

郷舎「殿はおそらく刑部殿の屋敷におられるだろう。」

「そうなんですね」


刑部殿…大谷吉継の事か。石田三成と大谷吉継は友情で結ばれてるって聞いてたから、きっと仲良いんだろうな〜


郷舎の後ろを歩きだんだんさっきいた場所に戻っていき、玄関まで連れてきてもらった。


郷舎「屋敷は広いですからな!迷ったらいつでも私にお尋ねください!」

「うん、そうするよ。」

郷舎「私は仕事もあるゆえ、道をお教えしますな。」

そう言って俺に分かりやすく伝えようとしてくれているのだろう。少し考えていると後ろから誰かが出てきた。

庄次郎「どうしたんですか?郷舎殿」


郷舎に話しかけたのは容姿端麗な美少年だった。


うわっ、めっちゃ美少年。浅香庄次郎だ。そうか、もうこの頃は石田三成に仕えてるのか。


郷舎「実はですな…」


すごいなぁ戦国時代の家臣同士はこんな感じなのか。


庄次郎「なら、私がお供しますよ?」

郷舎「おぉそれはありがたい。では頼むぞ。」

庄次郎「お任せくださいよ!」

すると庄次郎は屈んで私と目線を合わせて。

庄次郎「それでは行きましょうか!八郎様」

と微笑む。

「ありがとう、庄次郎!」

庄次郎「いえいえ、容易い御用ですよ。」

二人は並んで歩き出す。

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