Ⅲ
深夜。ベンチで寄り添う男と女。
「どうしよう、これから」
女の問いに男は答えない。
「私、海がある街がいいな」
元気な声。強張った女の顔。
「それも、いいな」
ぎこちない男の笑顔。
「でしょ」
誇らしげな顔。
「でも、本当はどこでもいい。二人ならどこでも」
安堵したような女に、男は頷こうとした。
赤い光。視線をやれば、パトカーが公園に近付いて来ている。途端に女が表情を消す。強く抱きしめつつも、男の顔も強張る。
後ろ手で鞄の中を探る。程なくして、見つけた包丁を握り込む。
「ずっと、二人だ」
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