−Ⅱ
早朝。アパートに呼び出された男の前で、女が静かに泣いていた。
「どうしたんだ」
尋ねても涙は止まらない。その後も男は何度か事情を聞き出そうとしたが、やがて黙り込み、少し離れて隣に座り込んだ。
ただただ、時間が過ぎていき、やがて、泣くのをやめた女は、男の横顔の前で瞬きをしたあと、頬に口づけた。のっそりと振り向く男に、女は薄っすらと微笑んで見せる。程なくして唇と唇が合わさった。
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