−Ⅰ
昼。酒瓶や缶、食べ物のトレイやごみ袋で雑然とした安アパートの室内。そこから少し離れたベッドの上。男と女は抱き合い、スプリングを揺らしている。
「離さないで」
女が叫べば、
「ああ」
不器用に応じた男は両腕に力を込める。女の表情が柔らかくなった。
何かが落ちる音。二人が動きを止めれば、中年の男がベッドを睨めつけていた。
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