第1章 第10話 出現!伝説龍(前編)
「ねぇ、将はどう思ってるの?」
「どう……とは?」
新聞部で莉音が色々している時、生徒会室では将と心が話していた。玲奈と苺は別の用事で出ており、完全に2人だけの空間となっていた。
「莉音のこと。あれだけやられっぱだったのに、全く気にしてる感じしないし。むしろ莉音のこと受け入れてるとすらも思える」
「う〜ん……まぁ、お前がどう捉えているのかはわからないが、少なくともこれだけは言っておく」
どこか物思いに耽けるような表情で将は天を仰いだ。
何かに浸っているとも取れるその行動に、心はどこか不思議な感覚に駆られた。
「足元にも及ばない。玲奈と苺はわからないけど、少なくとも俺はそうだ。あと、心は気づいたか?莉音は、剣を1本しか抜いてない」
「何を言い出すと思えば、それがどうかしたの?普通なら1本でしょ?」
「そうか……これは対峙してなきゃわからないのかもな……」
真っ白になるほどに強く握られた拳が震えていた。悔しいのだろう。負けず嫌いの将はなおさら。
「あいつは剣を2本持っている。腰に帯びているのは1本だが、もう一本隠してる。ほんと、底が見えなかった。なんなんだろうな」
「わからない。でも、玲奈、昔莉音とやりあったことがあるんだって」
「なんだって!?どうだったって?」
将の食いつき具合に軽く苦笑しながら、首を横に振った。心自身、これを聞いた時は信じられなかった。
「あの時情けをかけられてなかったら今ここにいないって言ってたよ」
「そっ……か……それほどまでなんだな。莉音の力は」
「まぁ、戦ってみたいって気持ちはあるけどね。同じ魔剣所持者・・・・・として」
「そういや、お前も持ってたんだったな。けど、莉音の魔剣とお前の魔剣の相性は最悪なんじゃないのか?」
「う……それはそうだけど……」
渋い顔をしている心を見ながら将はため息をついた。
「お〜い!犯人連れてきたぞ〜」
そんな時、よくわからないテンションの莉音が帰ってきた。2人は、同時にため息をつくと、生徒会室のドアを開けた。
そこには手柄を得てホクホクした表情の莉音と、死んだ魚のような目をした数名の男子生徒がいた。
・・・
「盗撮犯として謹慎届が出されてる3人で間違いなさそうだね。にしても、部長以外全員とは……」
「泣いてたよ。部長」
「いや、そりゃ泣くよ。逆に泣かない人はメンタル鉄過ぎるよ」
地下牢に入れられて大人しくしている3人を監視しながら、世間話程度の話をしていた。生徒会室では将が留守番をしている。
「にしても、玲奈遅いね。そんなに時間掛かるものなの?」
「いや、いつもはそんなにかからないんだけど、何かトラブルがあったのかも」
「まぁ大丈夫なんじゃない?玲奈だし」
「う〜ん、そうだといいんだけど………」
地下牢の前で10分ほど待っても来なくて、少し心配になってきた。本当に何かあったのではないかと思えてきて仕方がない。
「なぁ……会長はどこに行ってる?」
急に牢屋の中から声がした。その声に含まれていたのは興味よりは心配が強いように思えた。
「
「今、そこに行くのは自殺行為だ!!今すぐ連れ戻せ!さもなくば死ぬぞ!」
「おいお前」
「な、なんだ?」
私は、焦りのあまり叫んでいる1人に向かって、まぁまぁ落ち着いてと言いながら状況の説明を求めた。
「どういうこと?」
学園1の情報網を誇っているであろう新聞部の部員は、青白い顔で震えながら言った。
「
私は、反射的に泉に向かって駆け出した。
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