第1章 第9話 新聞部
「さぁ、時は満ちた……これより、儀式を行う」
「「我らが力!ここに君臨せよ!!」」
目の前の不思議な光景にいろんな意味で圧倒されながら、止まった思考回路から言葉を生み出そうとした。
「どうしてこうなった……?」
やっぱり何度考えても同じ言葉しか出てこない。いや、本当にどうしてこうなったの!?だ、誰か助けて!?え!?ちょっとこの人たち謎の呪文唱え始めたんだけど!?え?怖い怖い怖い!
「さぁ、お嬢様もごいっ…ぐはぁ!?」
「こ、こんなことできるかぁ!!」
部長らしき人が不気味な笑みを浮かべて勧誘してきたので、半ば反射的に蹴ってしまった。あ、大丈夫かな?まぁ大丈夫でしょ。謎の儀式してるくらいだし。
「うぅ……よ、よし!皆、作業に、取り掛かれー…ぐっ」
「「イエッサー!」」
死にかけの部長を無視して儀式は終わり、各々机について紙にペンを走らせ始めた。
「あ、ここ新聞部だった」
「ええー!??!!」
いや、そんなびっくりするなよ。あのね、こっちからしたら急に変なもん見せられたら何が何だかわかんなくなるわ。
そういえば、新聞部の活動の実態がよくわからないから探検を兼ねてある事件の捜索してるんだった。
「それで、ここはどう言う活動してるの?」
「えっと、まずは毎日の出来事等を新聞にまとめて朝配達。放課後は取材をしてまとめ、制作とともにコピーして配達準備。といった感じです。決して怪しいことはしてないのでご安心を」
「いや。いきなり怪しいもん見せられたよ。何あれ?ネクロマンサーでも呼んでたの?」
「違います。あれは情報交換です。漏洩を防ぐために敢えてああしているのです」
う〜ん、よくわからないけど分かった。さて、ここに来たもうひとつの目的も果たしちゃおうかな。正直もうわかっちゃったし。
「まぁいいや。実はもう1つ用事があったんだけどさ、それについてもいい?」
「どうぞどうぞ。我々は執行部の言うことには逆らえないので」
「そう。じゃあめんどくさいから単刀直入に言うね」
やたら挙動不審の部長は今更ながらめちゃくちゃ太っていた。検討外れ。なんとなくそんな予感がしていたけど、物は試しだ。
私は、敢えて大きな声で作業を遮るかのように言った。
「この中に、執行部から謹慎届を出されている盗撮魔がいる」
全員の作業の手が止まった。黒、だね。ただし、部長は白だ。こいつはそんな勇気持ってない。
私は一応玲奈から貰ったその紙を取り出し、一人一人名前を呼んで行った。
「とりあえず1人ずつ名前呼ぶから呼ばれたら立って。
思わずつっこんでしまった。目の前で部長以外の全員が起立している。いや、なんでだよお前らみたいな顔しないでよ部長さん。事実だから。ちゃんと証拠も残っちゃってるから。
「えっと、それじゃあ連行するから着いてきてくださいね」
新聞部の部室には、部長だけが寂しく残された。
「どんまい」
私はそう声をかけるしかできなくて、出る間際にそう言った。部室から出た瞬間、中から嗚咽が聞こえてきた。
あ、これ傷えぐっちゃったやつやん。
まぁ、あの部長さんの事だし大丈夫でしょ。私は軽い気持ちで、犯人共を連れて生徒会室に戻るのだった。
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