第10話 三輪家と白峰家は親戚です ③
※
コンビニが見えてくると
で、コンビニが近づくにつれ、ウチの視界に見えるのは……あんまり見たくない人種というか、できれば避けたいというか、苦手とする部類の人達であった。
ヤンキー座りしてる2人の女性。1人は女性というのが正しいがもう一人は女の子かな? ウチらとあまり変わらない年齢というか、少し下くらいか。
まず女性と定義付けた女性は金髪のロングで少しウェーブ掛かってる感じで、その恰好がまた黒いスーツにタイトなスカートで、事もあろうか赤のショーツの紐の部分が見えてるんですけど、ワザと見せてんのか? ヤンキー座りだからモロに見えてるけど気にしてない様子で、ぼけーっとアホ口を開けてるのが余計に怖い。
もう一人の女の子と称した方が……無茶苦茶目つきがヤバい。こちらも金髪でショートカット。アメリカンっぽい髪型。そしてジャージ。更には手に木刀を持ち、戦う気満々すぎてヤバい。
そんな異世界ファンタジー系な二人の前を通り過ぎようとすると、お姉さんっぽい女性にジロっと見られて思わず目を逸らす。とにかく怖いウチはその視線から逃れるように
するとそのヤンキーお姉さんは首を伸ばして、何故かウチをまだ見てるのだった。
えぇ? 何で? 何でそんなにガン見なの? などと思ってるとその瞬間、
「もふっ。ぶはぁ!」
突然の事態に変な声が出てしまう。だって
「てめぇこの野郎! こんな所に居やがったか! ぶっ潰してやる!」
何か物騒な男達に囲まれていた。5人。半グレっぽいジャージ姿の男や、いかにも893ですみたいな黒いスーツやら、とにかく関わりたくない人種だらけであった。
何でケンカ売られてるのか意味不明だと思ったが、どうやらウチらではなくて、コンビニ前でヤンキー座りしてる女性達に言ってるらしい。
金髪ロングなお姉さんが立ち上がる。すげぇスタイル良くてビックリしていると、ウチに向かって「すみません!」と手を合わせて謝罪するのであった。いや、金髪ロングな女性は関係ないだろ?
その後、急にドスの効いたような声で「なんだよこいつら」とボソっと言う金髪ロングお姉さん。するともう一人の女の子が、
「さぁ。しらね~。手当たり次第ケンカ売ったから、よく分かんねぇ」
アメリカンな女の子はそう言いながら、木刀を振り回し始めた。
ウソだろこの子。言動も行動も絶対ヤバい人だ! 絶対関わったらダメなヤツだ!
早く逃げよう。コンビニの中に入ろうとすると、事もあろうか
「え? 君もこいつらの仲間なのかな? むちゃくちゃ好み! ねぇねぇお兄さん達と遊ばない? どこか行こうよ。何なら二人きりでどっかいく?」
そんな外道な台詞はウチを恐怖のどん底に落とすのに十分であった。
リアルはダメだ。マジで何もできねー! っていうか本気でヤバい! スキンヘッドな男が
「ぐほっ! ぶはっ! ぶへっ! ぶごぉ! あばぁ!」
ブタっぽく喘ぐスキンペッドな男。
「気持ち悪りぃ。勝手に触ろうとすんなよ!」
「来いよクソ野郎が。全員ボコってやる」
ちょっと!
「
さっきの戦闘力を見ただけに半グレさんがあと4人いても……大丈夫なんじゃねと思ってしまった。やる気満々な
「迷惑かけちまってすみません! あとは俺らがやっとくんで、もう大丈夫です」
そう言い残し先陣を切ったのはウェーブな金髪ロングのお姉さん。この人も豪快だった。1人を殴り倒し、もう一人を背負い投げっぽい投げ方でアスファルトに叩きつけていた。
「だはっ!
そう言ったのは木刀持ってるアメリカン女子だ。残る半グレ達の頭を木刀で思いっきりシバイてるぜ。うわぁ……死ぬって! ここまで血みどろの抗争なんてこの街じゃ珍しいぞ。
壊滅状態だった半グレ達だったが、また新たに6人ほどやって来たぞ。
大丈夫なのか心配だったが、コンビニの中にある本屋コーナーから外を見てる
ああ、強いのは分かる。絶対強いよね。5連発も蹴り入れられるってもはや芸術だよね。
暫くして店内に入って来た
何食わぬ顔で合流した。外では既に決着が付いており反グレ達の一方的負けで勝負がついてた。
「明日の朝とか昼飯も買っておければいいんですけど。学校の食堂割と高くて……
既に明日の予定どうする? みたいな流れですか?
「
「じゃあ少しだけ……あっ! 私もお母さんに出して貰いますので」
とりあえず無難なカロリーマートを買ってもらっとこ
あと少し飲み物が欲しいなぁ。
そこでふと
「これ好きなの」ちょっと照れる
「私は、これです。好きなんですよ」
「あ、ウチも大好きですよ。ピニョの巨大バージョンよね?」
「ですです。ピニョも大好きなんですよ」
パリュムを買う
※
コンビニを出ると既に金髪ヤンキーねーちゃん達はいなかった。かわりに赤いパトライトがクルクル回した車が見える。どうやら警官らしい。ああぁ
「大丈夫ですよ。だってみんな再起不能だし。多分覚えてないっすよ」
そんな問題なの? 確かに警官が話しかけても誰うめき声だけで、支離滅裂なことしか言わないし聞き取れないで警官も困ってるぞ。
「さっきの金髪のお姉さん達がちゃんとトドメ刺してたんで大丈夫です。多分あのお姉さん達もむちゃくちゃ強いと思いますよ。2人とも無傷でしたし」
「あの……
「もちろん、
色々問題って何だろう? 不思議に思ったのでちょいと質問してみると、
「あ~。例えば、これです」
「これが戦う時に邪魔なんです。だから
胸が大きいから戦う時に邪魔ってこと? なんと羨ましくけしからん話なんだ!
ささっ帰りましょうか。用事は済みましたもんね。まずは三輪 《みわ》さんの家ですね。どうしても送ってもらうので、先に到着するのが心苦しいんですよ。といってもこの暮らしもあとちょっとで終わり、同じ家で暮らすことになるのか……
やべぇ。早く引っ越しの準備しなければ!
※
大きな国道で信号待ちをしていると、遠くから大きな声で「すみませ~ん!」と聞こえて来る。ウチらの進行を妨げたのはさっきのヤンキーお姉さんだ。
スレンダーでなんだか女性受けしそうでもあるぞ。お顔も整ってて美人じゃないですか。
ああそっか。怖そうな顔ばかり見てたから気づかなかったんだよ。
「さっきはすみませんでした。ツレがバカ過ぎて迷惑かけちゃって…‥」
先ほどの謝罪だと分かると
「とりあえずアイツらが仕返しなんて考えないようには言ってありますので安心してください
」
そうなんだよ。それが怖いんだ。今は良くても後で……困ることにならなきゃいいけど。などと心配していると
「ほんと大丈夫ですよぉ、あんな男が来ても返り討ちです。100人くらいなら楽勝っす」
そう言い放つ
ウチもそうだけど、金髪お姉さんも驚いていた。でもそれが……ハッタリに聞こえないんだよ。マジでこの人ならやりそうで怖くなってきた。
その時、金髪お姉さんはカバンの中から長財布をとると、名刺を
山田組。って書いてる、それって今でも現役の893の話だよね?
金髪お姉さんはそう言う関係の人なのか
名前は山田(やまだ)龍子(りゅうこ)と書かれていた。
「もし。万が一……あいつらの件で何かありましたら連絡下さい、すぐに駆け付けますんで」
「あの、一つだけでご質問よろしいですか?」
「なんでしょう?」
「あの……おなまえ。聞いてもよろしいですか?」
真っ赤になってる金髪ロングねーさんだった。何でそこで顔真っ赤なの? まさか女性で女性が好きな人? そう思わせるくらい真っ赤っ赤だぜ。
「私は、
名前を聞いた
そして空手で使うような「押忍!」と叫び一礼するのであった。
「
そう言うと、
「いやぁ……都会は色々な人がいるなぁ。人が多いぶん。変な人も多いんでしょうかね」
さっきスキンヘッドを倒したのに平然としてる様子を見ると大丈夫だよね? そう思ってしまう。
「でもそんなに暴れてもいいの?」と
「大丈夫だよ。今度は【闇になるのは
「そっか。そうだよね」
納得する
「
わ、分かりました。
ああ、
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