第8話 三輪家と白峰家は親戚です ①
何事もなく帰宅。そろそろ新居に引っ越せるように準備しておかねば。確か今週に引っ越しするって言ってたもんな。
ああしかし……ぜってー見られてはいけない部屋だよな。大量の本棚にポスターとか抱き枕も封印せねばならぬのか。あとはパソコンのセキュリティを最大限まで上げておかねば、コレの中身を知られた日には切腹モノだと思ってるんで厳重にロックすることだ。
などと今から片付けまっせ~と言わんばかりなタイミングでオカンからの電話。どうやら遅くなるからまた晩御飯は勝手にしなさいと無責任砲が飛んできた。その数秒後、
『一緒に夜飯買いに行きませんか? ウチの親父や義母さん遅くなるみたいなんで』
それは願ったり叶ったりなのだが、一つ質問よろしい? 凄く重要なことだぜ?
『今。
『
そ、そうなのか。
『じゃあ準備出来たら行きますね。
つまり学校では
そう考えると結構気が楽になった感じがする。
そして20分後、待ってる間に恥ずかしい物はダンボールに収納していた。
寝れるようにはしてあるぞ。あとはできるだけ自分で荷物は運んで持って行かないと、運搬中に落とされて中身を撒き散らす事にでもなれば洒落にならんぜ。
「こんばんは~」
「
「よろしくお願いしますね」
今日の
とはいえそんな可愛らしい妹に
ああ、妹っていいなぁ……弟らしいけど。もう妹でいいんじゃね?
「どうします? コンビニでもいいですしスーパーの総菜とかでもいいですし、ファーストフードでもいいですよ。マジで何でもアリです。どこか美味しい店に食べに行ってもいいですよ。全部親父が後で払ってくれるそうなんで」
うほっ。
それはまた美味しい食事にありつける可能性大ですね。
とりあえず家を出て駅の方に向かう。そっちに行けば何でもあるぞ。駅に行く前に商店街もあるしコンビニもあるし、駅前に大きなスーパーもあるしファーストフードもある。ウチにとってはこれが普通なのだが
「流石都会っすね。何でもあるのに驚きです。前に住んでたのが本当に田舎すぎてですね……コンビニすら歩いて行ける距離じゃなかったんで」
国道の信号待ちをしながら、以前に住んでた地域の田舎っぷりを語る
ウチも……おんぶされてー。
いあ、されたじゃないか? あ、
なんだここ。こんな場所に飯食う場所あったっけ?
見た感じ西洋風の建物で、何となくイタリアンっぽい店だった。少し前にオープンしたらしい。
「高いんじゃないの?」
「別にいいよ。俺の金じゃねーし。余ったら返せって言ってたし」
ああそれなら。使った方がいいよな。ウチもそうするヤツだ。と思ってると、
「あ、バイトも募集してますね。ふ~ん」
え?
いあ、でもウチら16だし。働けるのかな? などと考えてたら急に
「あ、オムライスある。ココが良い!」と言うので
「
流石におんぶしたまま店内は入れないよね。なので今度は手を繋ぐ姉妹。マジで仲が良すぎる。ウチはその後に続くと、ドアを開けて急に
「いらっしゃいませ。3名様ですね。こちらの席にどうぞ」
そう挨拶をした店員さんなのだが……
どこからどう見ても、ウチのクラスにいるピンク
え?
しかも恐ろしく残酷なほど可愛いメイド姿なのだ。あまりにも似合っており可愛すぎて思わず「おっしゃぁ~~!」っと叫びそうになった。
「どうしたの? お姉ちゃん?」
暫くして動き出した
まずは注文を確定しようとメニューを渡してくれる
「じゃあ私は……マルゲリータのミートソースにしようかな?」
あれ? 急に女言葉になっただと? 私って言ったよね?
そんな七変化っぷりを見せる
「
そう何度も叫ぶ男がいた。カウンターにいるのは……あっ! あれは銀髪のイケメンじゃねーか! 隣のクラスの弟さんがバーテンダーのような恰好して、ずっと
その間、ちらちらと
あれって。
横目でずっとカウンターを見ていると、何やら弟と
「
そんな軽い軽い軽すぎる挨拶にも驚いた。
あの
学校でのビビリな彼女とは思えねぇから! ほらっ!
だがもっと驚いたのは次の
「あれ?
すると
「そうなんですね」と
っていうかこの場所だけ。何か世界が違うぅ! 美人だらけじゃねーか! (ウチを除く)
「あ、
そう言いながら口元に人差し指をつける
当然ウチは何も言えず高速で頷くことしか出来なかった。
いあ、まて、何か変だ。変だって!
これ本当に……
ブタの鳴き声はどうしたんだ? フゴフゴと鼻息の荒い喋り方はどうした?
残酷すぎるメイド姿もヤバいけど。そのハッキリとした受け答えもそうだし、何よりも陽キャラになってるって! ついでにブサイク成分も0%という、何処からどう見ても完璧美少女じゃないか!
オーダーを受け取った
っていうか
いあ、これ……マジで
別人? いあ。顔のパーツは100%一緒だってば!
その時、
「へぇ~凄い綺麗な人と同じクラスなの?」
「そそ、俺もビックリした」
小声では男言葉になる
『外では基本、
ウチはグッジョブするスタンプを送ると、すげーカワイイ猫のスタンプが送られて来た。そのスタンプに驚く間もなく、
『でも、心の中は男なんで』
などと、あまり意味が分からない文章に頭を悩ます暇もなく、
『どうします? 外での関係ですが
そう送られて来たので、了解のスタンプで返すと、
『私が姉でよろしいでしょうか?』
そう送られて来た瞬間、お姉さんと目が合う。ちょっと恥ずかしそうだったのでいっぱいスタンプを送りまくったとさ。
おっけ~おっけ~その方がいいです! 頭の中でも
これでウチがお姉さんとかマジありえねーから!
そんなもん世間が許してくれねーよ!
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