第7話 黒澤くんの秘密はウチだけしか知らない ②
※
そして昼休み。弁当もクソもないウチは食堂に駆け込むかどうか悩んでいた。まゆちんやさおりんはしっかり弁当を持ってきており、一人寂しく食堂に行かなければならぬのか? そう思ってると後ろから声が聞こえてくる
「
「うん。いいね」
いや、絶対無理。何が悲しくて一人で食堂で飯食わなきゃならねぇんだ! 特に
「かなっぺ。分けてやるにょ~ダイエット中だしね」
「サンクスさおりん。褒めて遣わす」
何でもいいからくれぇ! 朝から何も食ってねーからハラペコなんだよ。そう思ってるとウチの背中をツンツンするのは
「あにゅ。もしゅよろしゅ。よろしゅければサンドイッチ食べましゅ?」
コレ一人分で食べるの? などという質問はさておき、「食べて下さいね」と許可を頂いた瞬間、一切れ貰い食べてみると……
「うううんまっ!」
たまごぉ~レタスゥハム最高! コンビニやスーパーのレベルじゃねぇ。もっと上だ。一切れ千円するヤツだってコレ!
「美味そう。
「ウチにも頂戴。見た目からしてもう美味しいよね。すごーい
「ねぇねぇ
「しゃぁ~~~! 誰が貴様なんかにくれてやるものかぁ!」
ウチは早々と二個目のサンドイッチを口にぶっこむと、両手に二つを持った。
「こらぁ
そう言いながら手を伸ばす
「
「それは
味方と思われた男性陣からも攻撃されて、何と哀れなチンパンジーなのだろうか。
それにしてもこのサンドイッチ美味しいってマジで!
思わず「あぁ美味かった。むちゃくちゃ美味かったっす!」と、素で喋り掛けてしまった。
「あ、あへあへあへ」
ほどなくして昼休憩が終わる。
「ねぇねぇ
おおっと? 急に勝負掛けて来たか?
でも流石に話が急じゃねーか。そう思ってたんだけど。
「とりあえずみんな遠方から来たもの同士、仲良くやっていけたらなって
なるほどね。
「あぁ~~! ウチもお友達になろうぜ
ウチの机を通り越してさおりんが来ると。
「サンドイッチの恩は忘れないわっ、
まゆちんまでライン登録を済ませてしまった。
あ、もちろん
当然、
いやいや、そんな話じゃなくてだな……
当然ウチも
その後で
うんうん。とりあえず順調。
午後の授業が始まってからは平常心を取り戻していた。
とりあえず接点の無いのを演じる。か……
最初はどうなるかと思ったが、
連れ子同士だなんて全く匂わせないほど普通で、ウチの人間関係が脅かされる訳もない。
このミッション案外簡単なんじゃね?
※
6時限目になると、ここから
『次に重要なのがこれです。男か女に入れ替わってから再度入れ替わるのに4時間開けないといけないんです』
う~んつまり、入れ替わってまたすぐに入れ替われないってことでおっけ~? また入れ替わりたければ4時間経たなきゃ不可能ってことだな。
『例えば、男の状態で朝に女に入れ替わったとします。するとそこから4時間入れ替われないので、俺は学校に行けなくなります。そんな感じになると困りますよね』
あぁ。そう言う事か。なるほどね。
でも
『なので入れ替わる時間はわりと計画的にしないと、後で大変になったりするんです』
【入れ替わってから4時間。再度入れ替わりが出来ない】か。これは結構重要っぽいな。
『何か他にあります? なんでもどうぞ』
『今のところは大丈夫です。また疑問に思ったら言いますね』
むふふ。この立ち位置というかポジション。最高に思えて来たんだが。
連れ子じゃなかったらこんな関係あり得なかったのに、クラスで1,2を争うレベルの男子の秘密を共有するとか。
などと浮かれてると、今度は
『昨日は本当にありがとうございました。自己紹介の時助けていただいて。そのお礼をずっと言いたかったのです。私は昔から人とお付き合いするのがとても下手でして、誤解をさせてしまう事が多々あるかもしれませんが、
イキナリの長文にもビビったが、その文章を読み進めて行くうちに、何となくウチに似てるかなと思ってしまった。まるで
とにかく分かって貰おうと、この陰キャなウチを少しでも理解してもらおうとした結果、こんな文章を送っちまったんだ。
そのタイミングで授業が終わると、後ろを向いてボソっと一言。
「仲良くしようぜ?
その返事にニカっと笑ってくれた彼女。おお、ブサイクじゃねぇ。本来美少女が見せるような完璧な微笑であった。ウチは少々引きつりながらスマホをタップして彼女に送信。
『こういうキャラなんで、偉そうに喋っちゃうけど、悪気は一切ありませんので誤解しないでね』
そんな内容を送って5秒ほど。むちゃくちゃ顔を赤くしてうんうんと頷く
え? 今の内容で顔を赤くすんの? っていうか。可愛すぎるからぁ! などと思ってるとラインでマジで「可愛い」といったスタンプを下さった。
いあ待って! ウケ狙いじゃなくてわりとマジなんだけど。
しかもそのデレ顔を周りのみんなに振りまく
「かわぁいい!」
そう
あのチンパンジーはウチに任せろ。何度動物園から脱走してきても連れて帰るからな。ったく。いつになったら自分が人間じゃねーって理解するんだよ。
などとチンパンジー捕獲作戦を真面目に考えようとしたその時、
慌てて教壇へと向き直る
ダメだ。あの爽やか
急いで深呼吸し、応急処置を取ろうとしたが前の席のさおりんが、
「ん~? どうしたんだい? かなっぺ? 顔が真っ赤で耳まで赤いナリ」
「わかんねーのかおい! 今気圧が3ヘストパスカル下がったんだよ。不安定すぎんだろ」
「ふう~ん? なに? 照れてる?」
「照れるだと? 何の話なんだよ。ウチは気圧の話をしてるんだよ!」
さっきから何言ってんだぁ! 待ってくれよさおりん! マジでテンパってるんだよ!
「ねぇねぇ白竹(しらたけ)さん。かなぺーが顔真っ赤なんだけど、何かした?」
「あ。あへ、あへへ、あへへ」
後ろにいる
暫くそうしていると、ウチをイジろうとしたさおりんも前を向く。
頃合いを見て起き上がると、ふと後ろが気になってチラっと見てみると、またまた
即座に回れ右する
とはいえ……これは凄く重要な問題じゃね?
慣れない。一向に慣れないんだけど!
マズいけどどうやって克服すりゃいいんだよ!
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