第2話 再会

都会に住む田中亜美は大企業の社長の娘だった。

何でも欲しいものはすぐに買ってもらえる、何も不自由なことはなかった。

しかしいくらお金を持っていても友達は買えなかった。

亜美に近づいてくるのはお金目当てばかりだった。

そんな亜美は毎日退屈な日々を過ごしていた。

亜美「あー、お金なんかいらないから友達が欲しい」

そんな亜美にも昔は友達がいた。

亜美の父がまだ社長でもなく町工場で働いてた頃、母はパートに出かけ父も仕事に追われていたため亜美は公園にいることが多かった。

公園にいるといつも遊んでいる男の子がいた。

彼の名は霧島ケント。亜美の通う幼稚園の隣の幼稚園に住んでいた。

亜美とケントは毎日その公園で遊んでいた。

ケントは亜美の初恋だった。

しかし父が起業をしたことをきっかけに亜美は遠くの都会に引っ越すことになってしまった。

昔は明るく元気な女の子だった亜美は「大人になったらまた会いに来る」と告げた。

それから何年たっただろうか、亜美は関西にあるあの町には一度も帰っていなかった。

そんなある日父から倒産したことを告げられた。

両親はとれも落ち込んだ様子だったが亜美は内心喜んでいた。

これで退屈な生活ともおさらばだ!友達も作れる!

そう思っていたが父は申し訳なさそうに亜美に借金があることを告げた。

しかし亜美にとって借金なんかどうでもよかった。

そして亜美一家は昔に住んでいた関西の小さな町に帰ってきた。

引っ越しが終わり昔遊んでいた公園に行くと見覚えのある顔がそこにはあった。

ケントだ。

亜美はどうしても声をかけることができなかった。

さっきまで早く会いたいと思っていた相手は女の子と一緒にいた。

亜美「あれは誰だろう」

そう思っているうちにケントと女の子はどこかに行ってしまった。

そして一週間後、今日は亜美の転校初日だった。

緊張しながら自己紹介を済まし担任の先生に言われた席に向かうと亜美はびっくりした。

席の隣は「霧島ケント」。亜美の初恋の人だった。

もしかしたらケントも覚えてくれているかと思い挨拶をしたがケントは不思議そうに見つめていた。

その後は転校生ということもあり周りの子たちに質問攻めにあいケントとは話せなかった。

その日の夜、亜美は風呂の中で考えていた。

亜美「やっぱり忘れちゃったのかな」

そう考えているといてもたってもいられなくなって例の公園に向かった。

公園にはまさかのケントの姿がそこにはあった。

そして亜美は勇気を出して声をかけた。


つづく

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