(二)-2

 駐在さんは伸びた腕の手首に手を当てて、しばらく動かずに様子をみていた。

 汎人と二人が入るように傘を差している秀美が駐在さんの様子を覗き込んでいると、駐在さんは急に立ち上がった。

「何かわかりましたか」

 汎人が駐在さんに尋ねた。

 駐在さんは振り向いて、「もう既に亡くなっていますね」と言うと、突き出た腕の方へ向き直り、両手を胸の前で合わせてお辞儀をして「南無阿弥陀仏」と唱えた。

 しばらくすると崎玉県警のパトカーが数台やってきた。制服のお巡りさんと私服の高齢男性らが降りてきた。


(続く)

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