(二)-3
駐在さんがその一団に敬礼をすると、お巡りさんたちも敬礼をした。私服の高齢男性が矢継ぎ早に指示を出すと、制服のお巡りさんたちはパトカーのトランクから規制線を引くための道具などを取り出して現場を封鎖し始めた。
私服の男性は、若い男性と一緒に合羽を被ったあと、駐在さんに案内されて崖崩れ現場へとやってきた。そして土砂の中から空に向かって突き出た腕の前でしゃがむと、すぐに立ち上がった。そしてその脇で様子を見ていた汎人と秀美に向かって「土砂崩れに巻き込まれたのですかな」と尋ねてきた。まだ、二人が第一発見者とは伝えられていないのに、だ。もしかすると、駐在さんが署に連絡したときに伝えていたのかもしれない。
(続く)
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