第13話 目的の小さなダンジョン

 放課後になり、俺は早速調べたダンジョンへと向かう。あまり人気のないダンジョンみたいで、周囲に人影がまばらにしかないというのは都合が良かった。

 ダンジョンへと向かう前に装備品も買い揃えてきた。借り物と似たような規格の物を揃えた。量産品だからか、5万円もしないで、安く手に入る。だからといって、安全面に不安があるということはない。しっかりと急所は守られており、当たりどころ悪く簡単に死ぬことはない。

 武器も昨日と同じく棍棒を使う。刃物なんて扱い切れるとは思わなかったし、それならば振り回すだけで同じだけの戦果を期待できる棍棒にするのは当然である。カッコ良さでいえば剣や刀を使うのだが、取り扱いの難易度の高さのせいで死ぬなんて、カッコ悪すぎる。

 サイトで見る限り、初めから刃物を使うことはなく鈍器などの使いこなすのに特別な技術を求められないような武器が勧められている。そして、そんな武器でも攻略がそこまで難しくないようなダンジョンの一覧も掲載されていて、今いるダンジョンもその一つとして書かれていた。

 探索者カードをダンジョンの脇に備え付けられたカードリーダーにかざし、入場記録をつけて入る。これを協会内のダンジョン以外では必須となっており、記録をつけていないでダンジョンに出入りしていることが判明した瞬間に探索者としての資格が取り上げられるそうだ。

 取り上げられた状態で入場していることが判明したら、逮捕されてそれなりの刑罰をくらう。やましいこともないのに、記録をつけない理由もない。

 このダンジョンも特別変わるようなところはなく、洞窟の中を探索するような形であった。

 一階層は前回のダンジョンと同じく小鬼しか出ない。調子にのって変なことさえしなければ問題はないはず。一回だけとはいえ、二体を相手にしたというのも自信に繋がっている。

 早速出てきた小鬼は一体のみ。簡単に倒せる。がむしゃらに向かってくる敵にタイミングよく棍棒を叩きつける、作業にも近い。

 今度はしっかり内臓の形も調べてきた。ほんの僅かに突起があるとか、微かに縦長になっているとか、何故ここまで似たような形にしたのかというほど似ている。

 形を確認しつつ、膵臓だけを取り出していく。いや、一応全部取り出す。どうせだったら沢山持って行ったほうがいいだろう。結局あの時は、俺が持っていた全ての臓器を食われたわけではあるし。あの食い意地ならば、いくら持って行っても、全部食い尽くしてくれそうだ。

 それならば形をわざわざ調べる必要もなかったかと思うが、換金できるのは肝臓だけだから、損というわけでもあるまい。

 そんなことを思いつつ、ネットからコピーしてきた地図を見つつ、二階層への階段の方へ向かって行った。

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