2回目 危機一髪

「そろそろ始めようか」

そう言って天使たちに指示を出しながら私も動き始めた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「で、?ここは死後の世界だと?」

自分の不注意から死んでしまった俺:山本は天使を名乗る者に転生しろと半ば強引に勧められていた。

「そそ。で、君を呼んだ理由はテストだね」

「??」

聞いてないが困惑したのを見た俺に天使は説明を始めた。

「神様の要件でしてね。...神様直々におつくりになったこの機械、我々天使でもう試したんですけど人間自体はまだでして......」

そう言って横の機械を指しながら少し悪い顔で笑った。

「だから俺にモルモットになれと?」

「ええ!!そうなんです!!!だからさっさとあの機械に乗り込んでください」

のんびり天使と話していたが俺があまりに決断しないので少し不機嫌になってきたかもしれない。

「あの、」

「はい?」

「転生するならスキルとかもらえませんかね......」

「あぁ、能力のことですね。ではこちらの中からお選びください」

そう言ってどこからか分厚い本を取り出した。

「この中から選んでくださいね。10分以内に選んでください」

ん?......本の文字数が多すぎる、...絶対選べないじゃないか......


―――――――――――――――――――――――


「はーい10分経ちましたね。まだその本見たいですか?さっさと転生してほしいんですが...」

「まだ読めてないですごめんなさい......」

「あ、別に謝罪とかいらないので......実は私待つの嫌いなので時間制限も付けましたし適当に選びますね」

そう言って天使はその体格からは考えられない力で俺を機械に押し込むと...

「いってらっしゃーい!......お願いします」

と、聞いたのを最後に俺の周りの景色が切り替わった。


―――――――――――――――――――――――


視界が切り替わった後きょろきょろと周りを見渡すと木しか見えない。

「森の中か」

付近に落ちていた紙を見つけ、広げて読んだ。


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名:ヤマモト

能力:危機一髪・悪(常時発動型スキル。天使を不機嫌にさせた罰でヒヤリハットが多発し、??%の確率で致命傷を負う)


  :無敵・聖(常時発動型スキル。あなたを不憫に思った神が追加で付与してくれたもの。ある程度の傷は回復し、魔王の攻撃以外で死ななくなるが傷による痛みは受ける)


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「へー...俺の運勢大凶、なんかな......」

いやまだヒヤリハットなら自分で今日つけて行動しようと納得させ、森の中を抜けるべく動き出した。


―――――――――――――――――――――――


俺は今ゴブリンと初対面していた。

(さすがに漫画のゴブリンとは違っていかついな......)

俺は少し怖いながらも突っ込みどこでもいいから拳を当てようと振りかぶりあてた。

......ぽき、という音とともに俺の骨が折れた。

「いっっってぇ...」

思わずしゃがみこんだ俺にゴブリンからの反撃が......


―――――――――――――――――――――――


「...あ、...あぁ......」

ようやく倒せた......スキルの効果かもしれないが俺は本当に死ななかったようだ。ゴブリンの死体は消えずそこに残り続けているのが証拠だ。俺はゴブリンが持っていた木の武器を少し拝借した。

「意外と重いな...」

そんな時バランスを崩して、

「いてぇぇぇ!!」

ゴブリンの武器が足の上に落ちて骨が折れる音が聞こえた。

(痛い痛い......当たらなければヒヤリハットで済んだのに...)

自分の注意不足に少し苛立ちながらも森を抜けるために慎重に行動を進めたのであった。

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