第5話 希望刹那

「みんなぁ大丈夫だ。一階に行けぇ」そう先生が言い私たちの名前を言いながら背中を押した。中には血が出ている子もいたが、重傷者は居ないだろう。「先生。赤井さんがいません」クラス委員の山田さんが言う。床を見ると手が出ていた。さっき叫んでいた子だ。男子や先生は机や落ちてきた天井を退かしながら声をかけていた。私は何もできずに周りを見ていた。上を見ると穴が開いている。「せんせぇ」どうしたのとゆっちゃんが私に聞く。「上、うえぇぇぇええ」今までで一番大きく叫んだ。先生は「お前ら1階に行け。早く」と怒鳴った。

 私は空から目を離せなかった。川石のような色の物体が赤い光線を放ち雨のように落ちてきていた。大きさはさまざまで赤い光線しか見えないものもあったが、目で目視できるほどの大きさもあった。幸い目の先には赤い光は無く、気づくと私は走り出していた。

 一階に行くと彼もいた。「よかった。本当に、ほんとぉーおによかっだ」彼は私を抱きしめた。「ごぉん」という音がして気を失った。

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