第6話 現実世界

気が付くと病院にいた。体中が痛い。管があちらこちらから出ている。私はぼーっとした頭で考えていた。ガラガラと扉が開いた。「加瀬さん」看護師らしい人が血相を変えて走っていてしまった。私の町を中心に大きな被害が出たそうだ。私の町である始日町の住人は私を含め70人しか生きていないそうだ。60人はまだ昏睡状態だそうでその中には弟もいた。私は彼が守ってくれたらしく頭を打っただけで擦り傷程度だったらしい。ほかにも開高町、初日村、東初日村など7町と5村のこの事件は「中部怪雨事件」として一週間たった今もニュースや新聞を独占している。

 ファフロツキーズとは世界各地で起こっている現象のことだ。江戸時代の百科事典『和漢三才図会』には怪雨と記されていた。古くは魚などが空から降る現象としてよく使われていたそうだ。オタマジャクシが降ってくるといった「石川怪雨事件」のように可愛らしい現象もあれば今回のように岩が降ってくることもある。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る