タイムトラベル

 私は超がつくほど天才だ。この世に私の知らないことなどない。一般にIQが20違うと話が通じないという。私のIQは250だ。もう誰とも通じないカンジ。

 人類の長い歴史を見ても私を超えるものはいないだろう。

 対して、弟は凡人だ。

 私にはおよそ凡人には理解できない苦しみがある。森羅万象、世の中の理を全てを理解してしまった苦悩。知らないことが存在しないことが私の苦しみだ。この苦しみから解き放たれるには、”死”しかない。


 だけど、痛いのや苦しいのは嫌だ。


 そこで私はタイムマシンを開発した。昔の映画にあったように、過去に戻って両親の出会いを妨害してしまえば私は存在そのものが消える。そこには一切の痛みや苦しみはないはずだ。

 この計画を聞けば、人はこう言うだろう

「他にもっと簡単な方法あるよね?」

 それは凡人の発想だ。


 ともあれ私はタイムマシンで過去へとたどり着いた。

 両親の出会いはダンスパーティーだったという。


 いた!


 どんな方法をとったかを詳細に書くと、無駄に長くなるから書かないが、ともあれ私は両親の出会いを無きものにした。


 おかしい、私の存在が消えない!

 凡人科学者の定説では、過去の出来事に干渉しても、歴史を変えることはできないとされている。だが、そんなものは戯言だ。IQ250の私の知能に間違いなどない。何か私の理解を超えたファクターが存在するのだろう。私は生きる目標を見つけた。手帳を開き「不確定なファクター」と書き記し未来(現代)に戻った。


 弟が消えていた。


 私は再び手帳を開き「ファクター」を二重線で消して新たな文字を書き加えた。


「不確定な両親」

 私の両親は誰だ?

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