第13話 初舞台2
僕の体に、百万ボルトの
「うぉーーーっ!!」
特設ステージに
ステージ上の女の子たちも、まんざらでもないといった表情で、観衆の
ど、どーーーーなってんの!? なにやってんの!? なんでアイツがステージ上に立ってんの!?
ぱぁっと明るい笑顔を見せると、一生懸命に手を振って、僕にアピールしているように見える。
や、やめてくれ……勘弁してくれ……もう理解が
「おい、あの子、今、オレに手を振ったぜ!」
「バーカ、俺だよ! 何、
みっともな言いい
「
な、なんか、変な
……でも、気持ちは分からなくもない。実際、
けど、アレは間違いなく、僕に向けて手を振っている……と、思う。なんか、ゴメンよ……目の前の同志達よ……。
「うずめちゃんて言ったっけ!? いいじゃん、オレ、断然あの
「あまのうずめ氏……かわゆす……十七歳……女神様やってますっ、と……メモメモ……」
グルグル眼鏡にバンダナを巻いた、いわゆるホンモノと思わしきお兄さんが、ブツブツ言いながら手帳にメモを書き込んでいる。
……あれ? ……鶉娘? もしかして……アイツ結構、人気あるのかなぁ……。
そこからは、ひたすらに
アピールタイムとして、歌を歌ったり、特技が
そして、いよいよ鶉娘の出番が回ってきた……鶉娘のアピールタイムが始まろうとしている。
なんか、めちゃめちゃ緊張してきた……鶉娘のヤツ、大丈夫なのか!? なーんも準備してないと思うんだけど……。
『では、最後に
「はーい……私、美玖さんのこと知って、
鶉娘がステージ上で、クルリと一回転してみせる。フリフリのスカートがふわりと
「かわいいぞー!!」「うずめちゃーん、似合ってるよ!!」「サイコー!!」
「うわー! ありがとー!! えへへっ! じゃあ、あの……新曲PVの
『え? PVですか? ……ちょっと、
ごにょごにょと、司会のお姉さんがマイクを
『ん? OK? …………はいっ……え? はい。……
「やった! じゃあ、お願いします!!」
鶉娘はゆっくりとステージの中央に移動すると、手のひらで
爆音とともに、新曲『
……圧巻だった。
映像と鶉娘のダンスが完全にシンクロしている……。
完璧といっていい
頭のてっぺんからつま先まで、
十七歳。まだまだ幼さの残る
PVの美玖を
僕は……吸い込まれるように
あっという間の出来事だった。曲が終わると、
あまりに呆気にとられた
…………パチ……パチパチ、パチパチパチと、ところどころから小さな拍手が聞こえてくる。次第にザワザワと、戸惑いに近いざわめきが、ステージを包み込む。
「……ウ、ウズメ? ……おまえ……これ……?」
「うずめちゃんサイコー!!」「な、なんだこれ、スゲーよ!!」「うずめ氏、おそろす」
うおーーー!! という大歓声が、
少しだけ肩で
「みなさん!! ありがとうございましたっ!!」
鶉娘の、心からの叫びが、会場を包み込む。
『……あ……あ、ありがとうございました……
ただひたすらに、信じられない光景が、目の前で巻き起こっていた……。
『それでは、「
『はーい。皆さん、本当にレベルが高くて……
『はい! ありがとうございます。いやー、美玖さんも楽しみということですけど、会場の皆さんも、楽しみですよねー!!』
集まった観衆から、妹
『では、発表いたします。
ドロドロドロドロ……っと、ドラムロールの音とともに、スポットライトが候補者四名をグルグルと照らし出す。
ドロドロドロドロドロドロ……ジャン!!
『優勝は…………天野……』
「……あのっ!!」
鶉娘がバッと手を挙げて、一歩前へ踏み出した。
会場全体が、
司会のおねえさんも、
鶉娘はステージの中央にゆっくりと
「あの……皆さん、今日は飛び入りで参加させていただいて……こんな素敵なステージに立たせていただいて、本当に、ありがとうございました……」
「うずめちゃーん、どうしたー」「だいじょうぶだよーうずめちゃーん」「うずめー、がんばれー」
ところどころから、鶉娘を心配するような歓声が聞こえてくる。
鶉娘は、そんな
「……ありがとう……本当に楽しかったです。本当にありがとうございます……」
深々とお
「……でも、私……本当は、このステージに立つ資格……
「どうしてー?」「そんなことないよー!」「うずめー最高だよー!!」
観衆から、より
鶉娘は、そっと目を閉じると、くっと
「……あの……わたし! ……
………………………………は?
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