第11話 秋葉原2
「……いらっしゃい」
プラグスーツに身を包んだ『
「え!? なに! 本格的!! ねぇ、ショーマ、見て見て!!」
「あぁ、見てるよ……と、とにかくすげえなぁ……」
そんなに詳しい訳じゃないけど、名札を付けていなくても、あの人が『綾波』ということは、さすがに僕でも
おそらくあの人の
「衣装……着たければ、言えばイイわ……」
普通のお店なら絶対NGだけど、このお店なら
「わー、迷っちゃう、こんなに
僕の
……ウズメ? ……
「ねえ、ショーマは私にどんなの
僕を、満面の笑みで見つめてくる。
「リ、リクエスト!? そ、そんなこと急に言われても……」
なんだよ、鶉娘。なんか、すげー楽しそうじゃねえか……。
「え~~? ショ~マ~、こんなに
甘えるような声で、ブンブンと僕の腕を
「……ま、まいったねこりゃ……あはは……」
……ち、ちょっと、鶉娘? 何か、変じゃね!? ちょっと、楽しそう過ぎじゃね……?
……いや、違うからな……そういうのじゃないから……別に、そういうのじゃないからな……。
そんな様子を
「
ぽそっと、ささやくように、そう
「か、彼氏!?」
な、なに言い出してんの!? 彼氏とか、なに言い出してんの!
「か、彼女!?」
僕とほぼ同じタイミングで、鶉娘が驚いたような声を上げた。
僕は、思わず鶉娘の方を向くと、その表情を確認する。鶉娘の表情が、少しずつ
「て、店員さん、な、何言ってるのかな? ……僕達は……そういうのじゃなくて……」
「私、彼女じゃありません……」
「 「……え?」 」
静かに、けれどキッパリと言い
「……ウ……ズ……メ……?」
「彼女じゃありませんから」
そーっとその表情を
……それでも、その気持ちを一生懸命に
「……す、すみません、お客様。私、
店員さんは、
「いえ、私がショーマの彼女じゃないって、わかってもらえればそれでいいんです。なんか、イヤな言い方しちゃって、すみません……」
鶉娘も、店員さんの誠実な対応を前に、
「……は……はは、ウズメ、僕はリクエストとか思いつかないから……ウズメが
「ん? ……ショーマ? うん、わかった。自分で選ぶよ。ちょっと待っててね」
「……あぁ、ゆっくりでいいぞ……僕は……下で待ってるから……」
……あー、支払い……先に済ませとくか……綾波さん? 綾波さーん?
とりあえず、二時間分のレンタル料を先に支払って、僕は階段を
店の前は、ちょっとした公園のようになっていて、ベンチがいくつか設置されている。僕はトボトボとそのベンチまで歩いていくと、どっかりと腰を下ろした。
「はぁー……」
『
夏もそろそろ終わりだというのに、まだまだ暑い日が続いている。
ビルの
空を見上げようにも、この
「ふぅー……。フッ……フフッ……フフフッ……はー、はぁーっはっはっは!」
通行人が、見てはいけないものを見るような目で、僕を
別に? 別に、何でもねえよ……。別に、全然? っていうか、何? ……何が? ……全くもって何ともないですよ。いつものことですから。ええ、
ですよ!? 本当ですよ!
なに疑ってるんですか? へっちゃらもへっちゃら、ヘッチャラピーですよ。パッパラパーのパッパパラパラってなもんですよ。ピーヒャラパーの……ね。
ふと……
この街と違って、空気だってめちゃくちゃ
入道雲がとても高くて、
この街は、なんだって手に届きそうな気持ちにさせてくれる……けれど、その障害も、
あの頃は……色々なものが大きくて、遠くて、高くて、でも……いつか手に
はぁー、チョット疲れているだけだよ。こんな気持ちになるのは、いつだってそういう時だ。
公園の片隅に、大型のトラックがゆっくりと入ってきた。後ろにマイクロバスを引き連れている。
大勢のイベントスタッフらしき人物を降ろすと、そのマイクロバスはどこかに走り去っていった。
ぞろぞろと
なんだ……何かあるのかな?
ま、関係ねえか。この街は、いつだって
ぼんやりと、そんな様子を
昨日から、色々な出来事が続いている。
ゆるやかな睡魔が……僕を
街の
はぁー、ちょっと……疲れた……な。
僕はそのまま、公園のベンチで知らぬ間に眠りについていた。
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