第2話 檸檬さん

俺は学校についてもその小学生のことで頭がいっぱいだった。

無事だろうかと考える自分は一般的なんだろうかと考えた。

そして授業が終わり、下校時間となった。

俺はいつもと違う道で帰ることにした。

あの現場を通りたくなかったからだ。

自転車を走らせ30分ほど経った所で、信号待ちをしていた俺に「すみません」と美人が話しかけてきた。


「あの、もしかしてウォークウォレット入れてますか?」


スマホの画面を見られていたことに気がつき、俺は少し恥ずかしくなった。

「変なもの見てなくて良かった」なんて思ったが、人の画面見るなんて少し気に触る美人だなと思った。

だがしかし、美人にきつく当たりたくは無いから何も言わないでおく。


「そうですよ」


「なら、私と一緒についてきてください」


あんなに美しい笑顔で言われると、年頃の俺は「はい」という肯定する言葉しか出てこなかった。

というか考えずに口に出していた。

という事で、俺はその美人について行ってしまった。


俺は自転車を手で押しながら美人と話をした。

名前、近所の人か、趣味など色々と。

そうして俺は廃旅館「お菊や」の前に来た。


檸檬れもんさん、どうしてここで立ち止まるんですか?」


俺は動揺した。


「ここが私の案内したい場所だったからです」


色々な思考を巡らせていた。

その結果、檸檬さんは誰かと肝試しに行きたかったという仮説を生み出した。


「肝試し好きなんですか?」


「いいえ」


「なら、なんでここに?」


一瞬目の前にいるのが幽霊なのではないかと考え、この場から逃げ出したい気分だった。


「佐賀道輪くん」


腕を掴まれた俺は焦った。

だが、何故かその掴んだ手を腕に絡めたきた檸檬さんにドキドキしていた。


「行こ」


やっぱり俺はこの人に弱い。

「はい」としか言えなかった。

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