第37話 へいっ!ヨウsei



♢♢♢ 九十一日目  王都脱出残り一日


「そうです、予定では明日に旅立つ予定だったのですが、職人探しや材料探しに時間が掛かりまして」 のほほんとエル

「私達の本当の狙いですか? うーん、エル君の安住の地を探す旅?」 困ったなのベティ

「アハハハハ、なにそれ!本当に旅人なの? わかりました。この話、お受けします。」 笑うココが真剣な表情になる。


朝からココさんが話しを聴きにきた。

マイコーさんが言っていた統合の話しだと思う。自分のお店の行く末と、従業員の行く末は当然気になるだろう。

従業員はほぼ変わらずで、ココさん一族は取り分が減るのだが、王都とオレンジベリーのお店の土地と建屋の賃料が入るのでとんとんになる計算だ。

そして本題のオレたちの事業の商品提供は、同じ社内という事で原価プラス1割となるが商品価格は定価計算する。

そして隠れた本題、他国の生地の取り扱い。ライムグリン家の貿易で入荷する新たな生地をココによって販路を拡大する。まだまだ隠居はさせない様だ。

そして、なんとケリーを預けろと言ってきた。まだ九つと小さいがおやつの為にヤル気に満ち溢れている。その彼女を育てたいと言ってきたのだ。その彼女は休憩におやつは出るのか出ないのか?それが問題らしい、実にケリーらしくて宜しい。

そんな話しをしていると、シャムが

「来たぜエインサークだ」と初めて聞くシャムの声に

「猫が喋った?えっ」 ココが驚くと

「ほんと、えっ、本当に⁈」 ジニーも驚く

「俺も居るぜ!こいつらに悪意は感じないな。天然か? ハッハッハッ」 笑う犬ビッグ

「えっ、犬も喋るの?」 ココがもっと驚く

「本当に、犬も猫も喋ってる?」 ジニーがさらに驚く

「コイツらはもうこっち側だからな。逃げられないぜ!ハーッハッハッハッ」 高笑い猫のシャム

ヒヒーン『あたしも寄してよ! ほらキャッパオも』 ピンキー

ブロロ!! キャッパオは落ち着いている

『ピィ〜』グレッグも仲間外れは嫌みたいだ、エルの肩に止まる。


「オレ達の旅の仲間なんです」 とエルは話しだす。

その間、エインサークは待ちぼうけ。


「良いんじゃ、最近は藍子もワシを避けよる。所詮年寄りは一人じゃ一人で孤独を全うするんじゃ」 おすねのエインサーク

ブロロ『おじいちゃん、そんな言い方じゃ皆んな嫌がるよ』

「える、なんて言っておる?」 慰めの言葉を欲しがるじいじのエインサーク

「えっと、そんな事ないよ。皆んなおじいちゃんを慕っているんだよ。って言ってます」 汗かきなエル

「なに、そうかやっぱり藍子はちゃんと見てるんだな」 喜ぶエインサーク

ヒヒーン『ちょっとエル、翻訳が違うけど、勝手に変えないで』

「今日は疲れたから休むって言ってます」冷や汗ダラダラのエル、さっさとこの場を離れたい。

ヒヒーン『エル!酷いじゃん、ちゃんと翻訳してよ』

「あーヨシヨシ今日は疲れたよな、暑かったかな、ビッグに氷でも出してもらってから、あっお菓子あるし戻ろっか、ねっピンキー!」 必死なエル。

そんなエルを見てキャッパオがピンキーのお尻を突いて促す、(キャッパオ最高じゃん)と目でキャッパオに語るエル。

ブロ!(当然ですが、何か)とすましたキャッパオが綺麗可愛い。


二頭とエルが席を外し、ベティが語る。

「この一行はエル君を中心に集まった旅人なんです。その内彼から話すと思いますよ。

彼の意向で方向性を決めます。わたしはその補助なんです」 ベティ

「何か人を寄せるのね、彼。 わかる気がするわ」 何かを感じたココ

「年の功ってやつですか?」 ジニーはパコッてココにつっこまれていた。


お店の統合の話しが終わりエインサークが離れに帰っていくと


「エインサーク様って気さくな方ね。渾名の鉄壁で寡黙な方って想像していたわ」不思議顔のココ

「以前のエインサーク様は無口で寡黙な方ですよ。エル様御一行が来られてから我々も笑顔を拝見しました」 マイコー執事

「大袈裟じゃない?」 半信半疑なココ

「いえ、奥様のキャサリン様も仰ていらしたので、愛犬のモグ様も話せるとは我らも知り得ませんでしたから。秘密を共有する者どうし親近感が安心を、気持ちに余裕を持ってもらえたと仕えている者は思っておりまして、エル様たちには感謝しております」 マイコー執事


ジニーは気になっていた事がある。もし契約を断っていたならどうなったかを執事のマイコーに聞いてみた。


「あぁ、我々は表立って商売はしておりませんが他国との貿易の仲立ちも国王陛下から賜わってしておりまして、先ほどエインサーク様が仰っていた他国の生地の取り扱いがすんなり決まり安堵してます。

今回了承されませんでしたらケップ男爵がされた様に王都の商店には圧力を掛けなければならなかったですし。

普段は致しませんよ。市場を混乱しない様に管理するのが国王陛下からの意向で我々侯爵家の立場で仕事ですから、只(眼鏡をクイッと)、我等ライムグリン家に牙を剥くなら話しは別です。エル様ベティ様の依頼を断った者達のリストの控えも預かっていますから」 ニッコリ笑うマイコー執事


ココとジニーは顔を見合わせて冷や汗が流れるのを感じた。ベティは話題を変える様に問いかける


「ココさんは話す犬や猫に思い当たる事はありませんか?」 ベティ

「なんだったかしら」 首を傾げるココ

「子供の物語に出てくる妖精ですか?クー・シーとケット・シーですよね。 ええっ」 何かに気づいたジニー

「知ってんじゃん!さすが敏腕秘書ジニー!」 煽るビッグ

「ココは忘れちまってるな、歳のせいか?」 貶すシャム

「「ええっー」」

「物語は フィクションで 事実と違うから ほんとじゃ無いから物語で、 妖精って架空の存在なんじゃ…」 ジニーはこんがらがった様だ。

「まぁー、他言無用ってやつだよ。そいつらは、どなたに仕えて、どなたの遣いだった」 ニヤケのシャム

顔が青くなる二人

「そう言う事だ。あの方がエルを選んだ。 心に留めとけ」 シャム

二人はベティを見ると、頷いているベティがいた。

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