第33話 脳内占有率98%

♢♢♢ 八十七日目 王都脱出残り五日


楽しそうな雰囲気の中、目覚めるとベティさんは起きていて顔が赤い。 ピンキーもキャッパオも何故か楽しそう。ピンキーは仕切りに今日の目覚めはどうかと聞く、清々しくて気持ちいいよと答えると、ピンキーだけでなくキャッパオも一緒に喜んでいる様子だ。ピンキー達が喜べばベティさんがより赤みが増すので。

ピンキーとキャッパオは部屋から出てもらいベティさんにゆっくりしてもらう。ピンキーが部屋を出る時『ごゆっくり』と言って出て行った。 わかってるよ。


赤みと熱が治まると少し話しをした。

オレが爺さんに見えていた者はベティさんには枯れ木の人形に見えていた。間違い無く生者では無かったと。それ以外は同じ体験。


朝ご飯の用意をしている時にベティさんの体験を皆に話してみた。

人や生き物以外の生者ではない気配、ゾンビ、死霊の類、ゴーレム、思い当たる者を絞り出したがオレの常識ではこれ以上でてこない。

ビッグは昨晩にエインサークにラビリンスで知っている事を聞いてみたそうだ。

物語の中の世界。 フィクションであると。 夢物語とも。 

その後、ベティさんに食事を運び、身体を拭く為の水を汲み替え、部屋に戻り思考する。


一つの考え方として今の世界、俺たちが前に居た世界、物語の世界、オレの知る世界はこれだけ。 

オレの知らない物語の世界もまた世界、 嘘と誠が入り交じる 交差する。

汝の常識を忘れろ 違う、覆す 違う、こう云い放つ感じの言葉、覆せ 違う、嘘だ これも違う、疑う いや、疑えだ。

 奴は言った 汝の常識を疑え これが正解だ。


バン、 「ベティさん、奴の‥ 、 あっ、 ごごめんなさい。み、見てないです」 パタン


突然ドアを開けたオレが悪いのは分かっている、水を汲み入れ替えたのもオレだった、ワザとだと思われただろうか。 ちゃんと謝った方が良いよな。 白い肌、締まったくびれ、双山の膨らみ以外見てない。 視覚に入ってきていない、クギヅケ。 まさに視線をクギヅケされた。ほんの一瞬、瞬きすらしてない瞬間。 エルの脳内占有率ただいま双山に98%くびれに2%。


~宿舎リビング~

「どうしたエル、ため息ついて」 シャム

「そうだぞ、若い内にいっぱい悩んでいっぱい考える。そしていっぱい楽しむ。」 ビッグ

「(いっぱいがおっぱいに聞こえる) あっ、奴の言ってた言葉を一つ思い出したんだ、奴は「汝の常識を疑え」そう言って、ラビリンスの扉は傍にあるって。 非常識とは違うし、どうしろってんだ?」 エル

「この星の者では無いのかもな」 シャム

「そんな馬鹿な!」 ビッグ

「それだ。汝の常識を疑え、か。俺たちの常識では、そんな馬鹿なと、思うよ俺も思ってる。それを疑う。  キリが無いな。先にやらないといけない事が溜まってきたそれから片付けようぜ。 

ビッグお願いがある」 シャム

シャムはパイセンビッグにエインサークを使って神隠しがどれくらいあるかとその状況を調べるようにお願いした。


エル達のすべき事は職人探し。

あれから三日目の午前が過ぎようとしている、早めの昼食を用意しベティの元へ運ぶ、

コンコンコン「ベティさんお昼のご飯です、入って良いですか?」 エル

「エル君良いよどうぞ」 ベティの元気な声

「さっきはごめんなさいわざとでは無くて‥」 言い訳を上手く言えないエル

ブロロ『ベティもわざとじゃ無いし気にしてないって』

「えっピンキー?」 驚くエル

ブロロブロロロ『さっきも居たよ。 あっ、 ふぅ~んベティの裸体に見惚れて、私とキャッパオが見えて無かったか。綺麗でしょベティの 裸 体 。それだけ見たなら責任あるんじゃなーい?』

ブロロ!! キャッパオ

ブロロ『ほら、キャッパオもそう言ってるよ。お嫁に行けないよ~。どうする気?』

「うぉ、キャッパオまで居る? 

 ベ、ベティさん、今すぐじゃないけどオレ、僕をお嫁さんにもらってください。」 右手を出して九十度に腰を折りテンパっているエル


「エル君、なに言ってるかわかんないわ」困惑ベティ

ヒヒン『エル、エルなに?僕をお嫁にって、ヒィヒィ、僕の!でしょ!ヒィ〜ハッハッ』

ヒヒーン!! キャッパオ

なぜか二頭共笑っている様に見える、大方ピンキーがエルをけしかけてエルがテンパっただけ、さっきの謝罪からのお嫁騒ぎ、エルの思考では無いだろう。 たまには馬鹿騒ぎもいいかと、大人な対応のベティ。 


落ち着いても顔が赤いエルと、笑い疲れたのか床でぐったりニヤニヤしている小型馬二頭。


「少ししたらもう一回スラム街に行きましょう馬車はやめて、鞍を着けて単騎づつで、もう三日目だからね」 ベティも気にしている


♢♢♢ 八十七日目午後 食むる


ピンキーにエルとシャム、キャッパオにベティとグレッグとビッグ。に別れて搭乗し、いざスラム街へ。


昼過ぎ、夕刻前の空いた時間は休憩する者も居てせかせかギスギスしていない。

スラム街を軽く周り小さいな子供は除いてエルと変わらないくらいの子と、もう少し大きい子で足に怪我をしてるのか足を引きずって歩く男の子に目をつけた。

ベティに話すと、作業が出来るのか?と問われ、なんとかなるだろ!と答えると、パッチリお目目のベティの目がさらに開き、まさかって顔で見てくるので頷く。


「さっきの足の悪い青年か。どこに行ったかな?」 ピンキーとキャッパオでぽっくりぽっくり歩いていると路地横の日陰で休んでいる青年を発見。声をかけてみる。


「こんにちは、仕事を探してますか?」 エル

「なんだよ、俺に用は無い向こうに行け!」 青年

「どんな仕事ができる? 手先の器用な者を探している。その足はどうした?」 ベティ

「ああ、 前は大工の見習いさ、親方が無茶しやがって梁から落ちてこれだ↓」 青年

「雇われてみないか?三食寝床付き、こき使うがどうだ」 ベティ

「この足でも良いのかい?物好きだな。寝床の広さは?」 青年

「こぶ付きか?いくつだ」 ベティ

「妹だ、九つだ」 青年

「針仕事は出来るか?」 ベティ

「繕い程度なら出来るさ」 青年

「よし、二人共雇おう」 ベティ

「おいおい、マジか。この足だぞ、  ヤバイ仕事はごめんだぜ!今なら衛兵に知らせてやるぜ」 ニヤける青年

「構わんよ。エル君呼んで来てくれ」 平然とするベティ

「待て、わかったわかったから、衛兵なんぞ呼ばれたら何されるか、わかったもんじゃ無い」 青年

「なに、そんなに酷いのか?」 考えるベティ

「あぁ、人にもよるが、俺の様に動きが悪い奴には邪魔だと当たりに来やがる」 青年

「ピンキー! こいつを乗せてくれ。 名を聞いてないな」 ベティ

「ジョンで良い」 青年ジョン

「じゃ、ジョン 妹を迎えに行こうか、どこに行けばいい?」 ベティ

「馬では目立つ、呼んでくる少し待ってくれ」 ジョン


暫くして妹と手を繋いでジョンが出てきた。背に少量の荷を背負っている。

「改めて、ベティよ。こっちがエル君」 ベティ

「エルです。」

「ジョンだ。妹のケリー」

「ケリーです。よろしくお願いします」 ケリー

「そうね、ジョンはキャッパオに、 ケリーも乗って見る?」 ベティ

「乗っても良いのですか?」 ケリー

「ピンキーお願いね」 ベティ

ブロロ『OK牧場』

「ピンキー古いね、もう死語だよ。ほらっ乗せるよ」 エル

ブロロ『よっこい しょーいち!』

「ピンキーがオヤジ化してるよ」 エル

「エル君って、お馬さんとお話し出来るんですか?楽しそうです。 このお馬はピンキーって言うんですか?よろしくねピンキー!」 ケリーがすんごいって目でエルを見てる

ブロロ『良いよー』

「普通かーい!」 エルは思わず右手の甲ピンキーにツッコんだ。

「エル君、遊んでないで行くよ。 古着屋に寄って行くわね」 どうでも良いやり取りだと読み取ったベティ

ブロロ『河原にも行くの?』

「ベティさん、河原にも行きますか?」エル

「そうね、 うん、寄って行こうか」ベティ

ヒヒーン『レェツラゴー!』   古い。


河原に着くと小ましな古着と手拭いを渡され川で行水するジョンとケリー。すこし離れてエルがピンキーをベティがキャッパオを洗っている。

「おい、あんたら俺たちを監視しないで良いのか」 ジョン

「えっ、なんで。 もしかして逃げる気なの?無理じゃ無い」 ベティ

「えっそうなんですか? 何も得しないでしょ?」 エル

「この古着や手拭いでも上等な物だよ。奴隷には勿体無いよ。これだけでも持って逃げる奴は居るよ、俺は走れないけど」 ジョン

「あのね、ジョン。まず間違い其の一、君達は奴隷では無い。其のニ、仕事着は別に用意する。其の三、仕事以外にも勉強してもらう。これは仕事に必要だから。其の四、動き出したら止められない。あっ奴隷よりキツイかも?」 エル

「駄目よエル君、仕事を始める前から心を折るのは禁止」 目の笑って無い笑顔のベティ

「YES ma'amは」 エル隊員

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