第18話 王都二日目やっぱり絡まれます
♢♢♢ 六十八日目
朝ご飯を食べて宿屋を出ると、王都の目抜き通りの一角に商業組合がすぐに見えたので立ち寄る事にした。
エルは特許の進捗を聞きにカウンターに向かう、アネストで作った馬車の装備品は貴族の間で流行り、ブルー領で特許の利権をベティと分けてもそれなりに入金があった。
ベティは手紙を出す為にカウンターに向かい、迷惑ばかり掛けるが兄オスカーに手紙を書いた。謝罪から始まりオレンジベリーでの出来事、三メートル級の大猪を狩らされたこと、フラッツの王都に居る事、移動する事、最後に御自愛下さいと。
受付にタグを渡して支払いを終えると、「ベティさんですね。手紙が届いてますよ」 と、「誰からですか」恐る恐る聞くと差出人はシルフィエットだった。すぐに受け取りエル達の居る一角に戻って読み始める。 そこには
南門前乱闘結界騒動の件も不問(事情聴取のみ)王都追放となっていたが取り消された事、シャムを王家が狙っている事(本丸)、ベティだけなら戻ってきても大丈夫。オスカーさんも心配している事。ベルベッティの男爵家も健在な事が書いてあった。
「全然安心できないね。俺が狙われる? ケット・シーが人前に出ても誰にも気付かれないぜ、俺はステッキを使うけど、首輪の鈴を使う奴も居るよ。普通の猫と一緒さ。俺も任務以外なら喋らないし姿さえ見せないぜ、」 シャム。
「えっ、首輪って誰かに飼われての?!」 驚くベティ。
「そうさ、知り合いの飼い主は老婆だが交代で顔を出してやると、喜んでミルクをくれるんだ。だから小さいハッピーを渡すのさ。 ベティには話してなかったか? 」 シャムはミルク老婆さんと呼んでいた。
「シャムには任務が合ってね、それが今日終わるか数十年後に終わるか。まっ、すぐには終わらないけどね。」 エルが楽しそうに言う。
「エル君はその任務は知ってるの?」 ベティはちょっと疎外感を感じる。
「話しても問題はないよね。ピンキーは同郷って言ったけど出逢いは偶然。この星に着いてまだ二ヶ月くらいなんだよオレ。そんなオレへのこの星の案内人がシャムさ。本当は初めての村までなんだけど、お願いして伸ばしてもらってんのよ。それに巻き込まれたのがベティさん。ごめんなさい。
それなのにお店も焼かれちゃって馬車まで買ってもらっちゃうしさ、オレが厄病神かと思っちゃうよ。本当ごめんなさい。あの特許システムがあって良かったよ少しづつでも返していけるから。 少し話しがずれちゃったけどそんなオレの生活が安定か、定住地が見つかるまで。ハッキリとは決まってないけど、シャムがあの方から卒検の合格をもらうまでかな。 シャムって修行者でしょ、その修行が完了したら卒検合格なんだろうね。」
「あたしも偶然?巻き込まれた?」 ベティは自分に問い掛けるように、
「本当ごめんなさい。 だから責任を感じることは無いですよ。シャムの呪文は攻撃的なのはないんだって、その代わり結界が凄いけどね。シャム達はあの方に仕える者でこの星を攻撃する者では無いという事。あの方は星に棲まう全ての生命の管理者、人だけを優遇はしないし冷遇もしない。オレみたいに転移になると特殊なのかな、案内人を付けてもらえた。シャムで本当に
良かったと思う。」 エルは思いのまま話す。
「転移?前にピンキーは転生って言ってたよね。」 とベティ。
「転生って、この地で産まれる生命だよね。ピンキーも驢馬に産まれて二回冬を越したって言ってたからね。転移は移り住むって言うのがしっくりするかな。
ベティさんが突然ウルフの群れに手ぶらで連れて来られても生きていけないでしょ。でもウルフの子供として群れの中で産まれたらまだ生きていけると思うんです。 その違いだとオレは思っています。」 エルの自論を語る。
「その案内人がシャム様ですか?
…あたしはあの時、グレッグを見てこれは仕事になるって思った、ほら南門の時の近衛兵が使えるって言ってたの覚えてる?鳥の雛は最初に見た者を親と思うでしょ。だからグレッグを調教するより卵を探した方が早いと思ったんだよ。だからあの時門兵に告げ口してエル君達を待っていたんだよ。あたしもひどい奴だよね。だからあたしも自業自得だよ。」 ベティは自虐する。
「何二人してシリアスに決めてんの?似合わんよ。それにさっさと戻らないとグレッグが何かやらかすぜ」 シャムがフラグを立ててしまう。
「マズイ、グレッグが野放しだった。あいつがいつも口火を切るからな。」 エル
「珍しく上手いこと言ったが、笑えんぞ」 シャム
ガヤガヤする商業組合前、グレッグが剣を振り回すならず者に火を吐き頭の毛を啄んでる。
ピッピッーと笛の音が鳴っている警笛か?遅かったようです。グレッグは安定のTメーカーです。
グレッグはまだ幼体みたいだがそこそこ飛べる様にはなって来た、調教は少しづつで火を消す鎮火、戻るハウス、最近は放鳥でフリーお覚えさした。
トラブル時に彼がたまたま馬車に居ただけで僕たち知りませんよ作戦だ。この作戦にはピンキーも加わる、グレッグの他にも違う鳥が居ないと不自然な為ピンキーが餌を撒き雀や鳩を寄せる。グレッグ以外満場一致な作戦だ。
そしてシャムによってフリーがグレッグに伝えられた。
にゃー『グレッグ良くやった、あとは任せろ。悪いが先に美味しい餌を探しに行ってくれないか、跡を追うから美味しい餌を見つけたらその場で待機。任せられるのはグレッグしかいないからな。 餌を探して待機。頼むぞ』 まぁ、多少気持ちが入ったがこんな感じだ。
そしてグレッグは飛び立った。ピンキーの餌撒きも効果があり、衛兵が来た時には雀が馬車の周りにたむろしていた。
「あれっウチの馬車に何かありました?」 エル
「こちらの男性が君達の鳥に攻撃されて怪我を負っている」 衛兵a
「僕達の鳥ですか?馬の鼻先の雀ですか?」 ピンキーの鼻先に付いた餌を啄む雀をエルが指さす。
「もっと大きくて火を吐きやがる、見てみろ髪が燃えてんだぞ。」 凄む男性
「?居ない鳥の責任を取れと? 馬の周りに居る雀は誰の鳥なんですか?」 エル
「誰の物でもない。勝手に居るだけだ。」 衛兵b
「勝手に居るだけの鳥の責任を私達には負えと仰るのかしら。」 ベティ
「こちらの男性が怪我をされているんだぞ。」 衛兵a
「私達は先程まで商業組合で用事をしていまして職員の方に聞いてもらえればわかりますが」 ベティ
騎馬兵が通りがかり様子を見に来た。
「何を揉めている、先日の女性と子供か。」 騎士k
「先日はどうもありがとうございました。いえね、こちらの男性と衛兵の方が、勝手に居るだけの鳥に怪我を負わされたから、勝手に居るだけの鳥の責任を我々が取りなさいと仰るので困っていたのです。」 ほっぺに手をやり困ったなのポーズのベティ
「いや、違うんです、が違わないんです」 衛兵a
「どお言う事だ、そこの鳥、雀か?雀にやられたか。派手にやられたな。 ふむ、
男よヨークド伯爵はお元気か、久しくお会いしておらんが気になっていてな」 騎士k
騎士kの横の衛兵が騎士に耳打ちする 「ほう、衛兵aはヨークド伯爵家の者か。では、この男は知っているな!」 騎士k
「はっ、よ良く見れば知り合いの男性に似ておりますが、そ その髪がちぢれており気がつきませんでした」 暑くもないこの時期に汗をながす衛兵a
「隊長よ、少し弛んでおる様だ。頼むな」 騎士k
「はっ、キリング様」 衛兵隊長
「では、分けて聴取を取るか。隊長は男と衛兵aを、ヨークド伯爵の無礼にならぬ様にな。 それと貴様達は我が直々に聴取を取るとするか、馬車を引いて着いてこい」 キツイ口調がの騎士キリング。
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