第10話

セリナさんに連れられて城下町へ出た次の日から本格的に魔力の調整の訓練を始めた

魔力の調整訓練といっても、瞑想しながら体内にある魔力を外へ排出するのを意識してセーブするといったものなのでソータ自身はいたってまじめに訓練しており、ソータの専属メイドであるセリナや毎日ソータの確認をしに来るポティスはそのことを理解しているが、ほかの人からの視点だと一歩も部屋から出てこなくなったことで何かしら重大な病気か怪我をしたのではないかと噂されるようになった


そして噂が城内で大きく広まった頃

(今日は魔力の調整が簡単にできる?)

普段なら魔力を制限したところで全く動かなくなるか、腕輪の上限に達してしまうのだが今日はいつもと違い自分自身で調整することができたのだ

まさかと思いステータスを確認してみると


ソータ・ミヤシロ

Lv1 職業:魔法使い

HP:2000[0]

MP:□□□□□

STR:200[-100]

DEF:200[-100]

AGI:200[-50]

INT:200[+100]

LUK:200[0]

SKILL:『魔力無限』 『蛇神の加護』 『全属性魔法:初級Lv:3』

称号:無し


いつの間にか初級魔法がLv:3になっていた

Lv:2になった覚えがないんだけどな~と壮太自身は思っているが、それもそのはずこの世界では一握りの人しか知らない知識としてスキルレベルが上がるために必要な条件があるのだ

初級魔法がLv:2に上がるための条件は自分で魔力を制御できるようになる。というものでポティスはそのことについて知っている数少ない人なので壮太に魔力を調整させる訓練をさせていたのである

Lv:2を飛ばした理由は壮太がすでにLv:3に上がるまでの熟練度を持っていたのにもかかわらず魔力を制御できなかったことによるイレギュラーである


それからはある程度自由に使えることになった喜びから、給水の威力を高めて高圧ジェットみたいにして地面を削ったり、微光を細長く伸ばしてライト〇バーみたいにしたりしてはしゃいでいると


「遊ぶのはそこまでにしておいてこっちに来てくれない?」


と苦笑いしながらポティスが話しかけてきた

その言葉ですぐに冷静になり、顔を真っ赤にしうつむきながらポティスの方へと足を運んだ



   ◇◇◇



部屋につくなりポティスは話を始めた


「さっきの様子を見るなり魔法を制御できるようになったようだね~」


まぁたまに制御できない時もありますけどねというとポティスは頷きながら話を進めた


「ある程度制御できるなら次に進んでもよさそうだね~。次の訓練と行く前に教えておかなければならないことがあるから今から教えるね~。自分の心臓のあたりに集中してみて」


壮太が心臓に集中すると心臓の周りに魔力の輪が形成されているのを感じた


「魔力の輪が感じ取れたかな~?それはサークルと呼ばれているもので同時に魔法が使える数を表しているんだよ~。魔法のレベルが5上がるごとに1個追加されていくんだよ~。だからソータには初級魔法を5まで上げてもらうことが目標でそのあとに並列で魔法陣を起動する訓練を始めるからね~」


魔法陣を並列に起動させるのはかっこいいなと思い、すぐに訓練をしようとするとポティスに肩を掴まれて止められた


「魔法を使用していいのは訓練場だけって言われてなかったかな~」


笑っているはずの顔は前と同じようにとても怖かった



   ◇◇◇



そうして数日後


無事魔法レベルが5に上がったので早く並列魔法を教わろうと思い早めに訓練場につくと壮太の頭の中にに突然師匠であるポティスの声が聞こえた。それはいつもと違いかなり焦っているようだった


「ソータ今どこにいる?」


「訓練場前ですけど何かありました?」


その言葉に息をつまらせたかのような空白の後大声で


「今すぐそこから逃げろ!」


「ちょっと待ってください師匠どういうことですか!しっかりと説明してください!」


「私たちは嵌められたんだ!そこはもう罠だ!」


その言葉を聞くと同時に走り出した

(最初から違和感があったんだ。こんなことになったと師匠が理解したなら転移で迎えに来ないわけがない。おそらく師匠の方でも何かあったんだ。いまはもっと遠くに離れなければ)

と考えながら走っていると


「それ以上逃げられると面倒なことになるので止まってくれると嬉しいのですが」


という声とともに執事服の初老の男性が目の前に現れた

急いでほかの道に入ろうとするとそこにもの人がいた。ほかの道はどうだと見てみると全ての道にその執事服の人が立っていた

(ははっ。これは逃げられないな)

試しに魔法陣を起動してみてもすぐに別の魔法で相殺される

こうなってしまったらを切ること以外できることがないと思いながら壮太は最後のあがきに入る


「確かに逃げられそうにないね。最後に教えてくれない?なぜ僕なのか。なぜこのタイミングなのか。師匠はどうしたのか」


答えてくれないだろうと思いながら一縷の望みをかけながら時間稼ぎをしようと質問すると意外にもすぐに答えてくれた


「一つずつ答えてあげましょう。あなたを狙う理由はあなたが『魔力無限』を持つから。今日狙ったのはあなたが並列で魔法陣を起動させるための下地ができたため。ポティスには我らの序列第一位が当たっています。おそらく実力は互角でしょうがあなたを連れ去る時間ができれば任務は完了するでしょうね」


師匠は無事だろうということで安心した。そして師匠が間に合わないということもわかってしまった

これで全力で目の前の敵と戦うことができる


「悪いけどただで負けるつもりはないよ」


そういって魔力を制限なく開放する

もちろん腕輪は耐え切れずに崩壊し膨大な魔力が辺りを圧迫し始める

それにより執事服の分身が何人か押しつぶされ執事服も警戒心を上げる


「異世界からの勇者の1人でポティス師匠の弟子の宮代壮太。悪あがきさせてもらうよ」


正義執行会アガリティ・アングラムス第2位ウルガス・ジーゼス。全力で倒させていただく」





勝負は一瞬でついた






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魔力無限の初級魔法使い 潰れたネジ穴 @tuburetanejiana

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