第7話
「君たちには死を覚悟して訓練してもらう」
死を覚悟するとはいったいどんな訓練何だと気を引き締めているとポティスはどこからともなく紙を取り出した
ちなみに厷はそこらへんにいつの間にか捨てられていた。かわいそうに
「先ほど君たちが話していたことからして、君たちは魔法について何も理解していないということが分かったよ~」
目線で違うかい?と語りかけてきた気がするのでうなずいた
その反応に満足したのか少し機嫌が良さそうにしながら話を進めていった
魔法には属性があり
炎、水、風、土、雷の自然属性
光、闇、空間の特殊属性
魔力そのものを操る無属性
の9種類である。
先ほど話していた適正属性とは、体内で魔力の運用が比較的簡単にできるの属性のことを表しているらしい。
だが魔力とは内部で混ざり合う性質を持ちある一定を超えると逆に発動速度の低下や威力の低下、魔力制御の難易度が上昇などのデメリットが出てくるようになるらしい。
そしてその最も魔力の運用ができやすく属性を扱うことができるのが3属性ということだ。これが厷の方が才能があるといわれた理由である。
「つまりカイナは最小の力で最大の結果を出せる魔法使いとしての一種の究極の才能で、ソータは最も多くの種類の魔法を使うことができるという一種の究極の才能を持っているってこと。ここまではいいかな~?」
いつの間にか復活した厷とともに頷く
その反応を見てポティスは先ほど取り出した紙を2人の頭に張り付けてすぐにはがした。するとその紙がそれぞれ違う色に染まった
「これは君たちの魔力強度を測っているんだよ~。もらった鑑定紙には載っていなかったからね。これは制御力にかかわってくる部分だからかなり重要なんだよ~。この赤いのがカイナので、こっちの紫がかっているのがソータのだよ。で結果なんだけどやっぱりカイナの方が魔力強度が強いね。これならかなりの細かい制御まで最初からできそうだよ~。ソータはちょっと弱いけどこれからの訓練次第だね~」
どうやら魔法陣を起動するときにはその魔法強度というのが重要だという
魔法強度が低いと
その説明を終えるとポティスは厷と颯太を見ながらこう言った
「よし!訓練の方向性は決まったよ~。カイナは魔法陣の構築の練習、ソータは魔力強度を上昇させる感じでいこう。そしたらカイナにはこの紙に書いてあるものをしっかりと覚えてね。で、ソータはちょっと離れたところで魔力弾の作り方を教えるからついてきて~」
ポティスについていき厷と多少離れたところで
「それじゃあ魔力弾の作り方を教えよう。目をつぶってとりあえず集中してみて」
言われたとおりに目を閉じ集中する
「魔力よ出ろ~って念じてみて?」
気が抜けた感じの声で言うものだから集中力が途切れてしまった
再度集中しなおして念じる
(魔力よ出ろ)
そうすると体内から何かがあふれて外に出ていくのを感じた
―――ソータ。もうやめていいよ~
何か声が聞こえた気がしたがそんなこと少しも気にならなかった
体が慣れてきたのかもっといけそうだと思いさらに強く念じる
すると体内に流れている何かが速度と量を増していくのを感じる
―――それ以上は体壊すかもよ~
まるで体内にある何かはもっと行けるとでも主張するかのように速度と量がどんどん増えていく
(よし。もっと行こう!)
と思いさらに強く念じる
―――ポティス様。危険ですので早く避難を
―――何言っているの。あれを止められるのは今この場で私だけだから。君たちこそ倒れている人を連れて早く離れて。急がないと死人が出てきちゃう!
「―――タ。起きろソータ」
という声が聞こえたかと思うと頭を強くたたかれた
目を開けるとそこには身体のあちこちから血を流しているポティスさんがいた
何事だと思い周りを見渡すと、いたるところの地面が割れ一部は陥没している。近くの柱にも何かがぶつかったかのような凹みがあり、奥の方では何人ものの人が倒れていた
するとポティスさんが立ち上がった
「何が起きたんですか?」
と聞くと彼女は
「やめろって私は言ったよね?」
(なんか言われた気はするけど)
と少し思い出すように考えていると、ポティスさんは諦めたかのように頭を振りながら説明を始めた
「これは君が魔力をあたりに撒き散らしたからこうなっているんだよ。奥にいる人は君の魔力にあてられて意識を失っている。一般人が魔力にあてられたら死んでしまう可能性があるんだ。今回はかなり早い段階で止められたからよかったものの」
僕はその言葉で自分が何をしていたのか理解した
(僕の中を流れていた何かは魔力で、それによって人が傷ついてしまった)
「悪いけど今日はもう訓練ができそうにない。カイナと一緒に今日は帰るように」
彼女の顔はまじめな人そのものでかなり怒っているということが目に見えてわかった
それから僕は厷とともに城へ戻っていった
道中、厷は今回のことを事故だから仕方ないと慰めてくれた
※ポティス視点
カイナとソータが離れたのを確認すると私はさっきのことを思い出して笑いそうになった。それを地面に横たわりながら見た私の部下はかなり驚いたようだった。そのことに気付いた騎士が私の近くにやってきて何かあったかと聞いてきた
「いや~何でもないよ。ちょっとさっきのことを思い出しただけ」
あの化け物みたいな力をね
私は魔力の認識をさせるためにソータに念じるように伝えた。これを行うことで脳の指令を受けた魔力は体外へ放出される。天性の才能を持っている厷以外の魔力を持っているものはほとんどこれを行うことで自身の魔力というものを感知する。もちろんこれが魔力を使うのが初めてのことから、放出される魔力は体内のほんの一部だけで、制御もされていないから何かをはじいたり壊したりする威力などあるはずがない。しかし、ソータはその膨大すぎて計測できない魔力量を保有していることから魔力の圧力だけで地面を陥没させたのだ。
また、ソータに話した一般人は魔力にあてられると死んでしまうという話は合っているのだが間違ってもいる。確かに死んでしまうことはあるのだがそれは至近距離から上級魔法陣の起動を見た時だけだ。私の部下は日常的に上級魔法陣を使っているのだが、それでもかなり離れた人まで魔力にあてられたことからかなりの魔力があることを確認できた
(私ですらけがをしてしまったし、騎士の抗魔の鎧ですら壊れかけている)
また暴走したときは止められないかもしれないと思うほどに強大な力だった。そしてそれによりポティスの意思が決まった
「仕方ない。私が師匠になるか」
ポティスは正確に言えば師匠になることを許可したのではなく、自分の弟子から代わりの師匠を探す役目だったのだが、ここまでの規格外の2人を見ていると他人には任せられないように思ってしまったのだ
と考えたならすぐに行動しなければと、王への報告書などを書き始めた
そして騎士に
「これを王へ届けてね~」
とそれを渡した
明日からは忙しくなりそうだと元宮廷魔法使い第1席ポティスはニッコリと笑った
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