第2話

「おおおおおおおっすげぇ!」


「こんなきれいな料理見たことないよ!」


「ほんとすごい形してるね!写真撮っておこ」


クラスメイトは大はしゃぎしているが、こういう料理はおいしいわけではないと相場が決まっているから過剰な期待を抱かないほうがいいと思うんだけどな

(充電できる可能性が低いのにスマホを使うのは危機感が足りなさすぎだよ)


「味薄っ!」


「何この固いパン。ちょ~食べずらいんですけど」


まぁ予想通りおいしいわけがなかった

(けどそれを声に出すのはどうだろう?さっきからメイドさんや騎士たちの視線が痛いんだけど気づかないのか?)


そんなこんなで食事が終わり客人用の部屋が割り与えられたがいかにもホテルって感じだ。ベットはふかふかだしいい匂いもするなぁと考えていると今日3回目になるの意識を失う感覚を感じた



   ◇◇◇



目を覚ますと目の前には予想通り噛みつきそうな蛇がいたので即座に身を翻した


「やあやあ調子はどうだい?」


「ここに戻ってこなければ最悪にはなっていなかったかもしれませんね」


「君からしたら勝手にスキルを選んでしまった僕には恨みを持っても当然だね。そのことについてはほかの神様からもやりすぎだと怒られてしまったよ。だから君には今後一度だけ知りたい情報を知る権利を与えようということが決まったんだ」


つまりまだ解明されていないものとかも知ることができるってことか。最高じゃないか!


「そうそうその認識でいいよ!いやぁ君は運がいいね!その権利を大事に持っておくといい。君が本当に知りたいと思ったときに祈ると使うことができるからね!」




   ◇◇◇



気が付くと朝になっていた。


コンコンッ


(こんな朝早くから誰だろ?)


ドアを開けると目の前には水色髪のメイドさんが立っていた。


「おはようございますソータ様。昨日から専属のメイドとなりましたセリナと申します。昨日お部屋をお尋ねした際にはすでに寝ていらっしゃったのでこの場で自己紹介をさせていただきました。ただいま朝食をお持ちいたしますがよろしいでしょうか?」


なるほど昨日は意識を失ったから迷惑をかけてしまっていたのだろう。だというのにこちらを不快感を与えないように接してくる…これがプロのメイドかっっ!

っていうかセリナさんはなんで動かないんだろ?そういえばよろしいでしょうかって確認とっていたな。これはまあおねがいしますでいいのかな?とりあえずお辞儀をしながら


「はいっお願いします。それときのうはすぐに寝てしまいすいませんでした」


あれ?セリナさんがこっちを見たまま動かないんだけど。なんか変なこと言ったかな?


「では少々お待ちください」


何だ気のせいだったか。特に間違いがなかったようで安心したよ


少し待ったあとにセリナさんが食事を持ってきてくれた


「お食事の途中申し訳ございませんが今日のご予定を話してもよろしいですか?」


「お願いします」


「この後およそ2刻後に勇者様方には昨日の騎士団長からの話通り教会へ行ってもらいます。そのあとは勇者様方の職業に応じた訓練に入ってもらう予定でございます」


「質問してもいいですか?」


「はい何でしょうか?」


「ここや今から行く協会、街中などの日常生活でのマナーなどを教えてもらえませんかね?」


「かまいませんがなぜでしょうか」


「僕たちがいた世界とこの世界では常識というのが違う可能性が大きいでしょう?今後この世界で住むことになる以上マナーや常識は守らないといけないと考えたからですよ」


「わかりました。今からすべて教えるのは時間が足りませんので今から行く協会でのマナーを先に教えさせてもらう感じでいいでしょうか?」


「それでお願いします。他はまた今度教えてください。あと図書室などがあればそこに入る許可もお願いしてよいですか?」


「そのことについても確認が取れ次第お知らせさせていただきます」


ということでセリナさんから教会のマナーを教えてもらった後教会へ向かいに行くことになった



   ※セリナ視点


私の名前はセリナ。自分で言うのもなんだが次期メイド長候補と見られているかなり優秀なメイドだ。昨日は勇者召喚がありメイドの選定が忙しかった。今までは多くても10名ほどだったと過去の文献にあったのでもともとは15名分の専属メイドしか予定していなかったが、なんと21名の勇者様方が召喚されてしまったではないか。仕方がないから私まで専属メイドとして使えることになってしまった。

私の担当する勇者様の名前はソータ・ミヤシロというらしい。早速あいさつに行こうと部屋へ向かっていったがノックしても返事がない。おかしいと思い部屋を覗いてみたが寝てしまっているだけらしい。

あいさつは明日の朝でいいだろうと休憩室へ戻ると数人のメイドの泣いてしまったメイドを慰めていた。


「何があった?」


「実は…


どうやら勇者の中でメイドに手を出そうと思って高圧的な態度をとっていた者がいたということらしかった。しかもハセガワという勇者を除いた勇者たちは礼儀がなっていないものも多く、さらには声には出していないが性的な目線で見つめるものも多かったという。勇者様方の面倒を見る騎士団長にもこの話を伝えておかないといけないようですね


「フォセル騎士団長殿も聞きました通りどうやら勇者様方は自分の立場をしっかりと理解できていないものが多いようです。今回の件どのように処理しましょうか?」


「勇者様方はこの世界に来たばかりで分からないことも多いだろう。今回の件は少し甘い判断になるがその手を出そうとした勇者からは専属メイドを外すだけにしておくしかあるまい。ここで罰を与えすぎると今後の関係構築が難しくなってしまうからな」


やはり騎士団長殿も同じ考えのようだ。しかし自分の立場が分からない場合は相手方に少しでも礼儀をもって接するのが普通ではないだろうか?


「今後無礼なことをしてきた場合はある程度生活できる資金を与えて追放という形にすれば自分たちがどんな状況にあるか理解できるだろうな」


私としても元の業務に戻りたいので特に異論はありませんね。できれば私の担当する勇者がバカでありますように







「すいませんでした」


まさか謝られるとは思いませんでしたね

私が担当するソータ様はいい方に期待を裏切ってくれました。しかも自分の立場を理解しているのかマナーや常識を学ばないと危ういということにすら気付いているみたいです。なぜかと質問してみてもこの世界で生きていくために必要だからともし見捨てられて一人で生きて行くことになったことも考えているようです。他の勇者様方と比べて一人だけ先を見据えている気がします。学ぶ意思があるならしっかりとお教えしなければなりませんね。これで人付き合いで失敗してしまったら次期メイド長名折れですから。

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