生きるために私を切る

生きるために私を切る

　自傷行為と同じことを他人にしたら犯罪。だから良くないこと。矛先が自分であっても。

　ダメなことだと断定してしまうことは誰にだって出来る。でも、このどうしようもないほどの、苦しくなるほどのモヤモヤを誰も傷つけずに消すことは、誰にだって出来ない。

　どうしてこんなに不安なのか分からない。どうしてこんなに怒りがこみ上げるのか分からない ――何に対する怒り？ ――。未来が見えない。私が見えない。私はだぁれ？

　これが全部同時に来てみな。頭が全部、不透明になって何も手につかなくなる。

　でも今頑張らないといけない。今やらないと。

　だから、心のどうしようもない重さを、体に刻んで移す。そうすると頭がスウウゥとして、また……。未来のためにまた頑張れる。

　これくらいで死にはしない。ううん、そんな訳ない。分かってる。切る時だって、頭を打ち付けるときだって、自分を殴る時だって、頭の片隅では分かっていた。

　それでも、生きるために私を切る。未来に希望を持てない私が、これからも不透明な未来をもがいてでも生きないから。どんな未来が待っているのか分からない。この体と心はどんな考えと出会うのか、どんな人と出会うのか、どんな景色を見るのかを、知りたいから生きたい。