第3話 おっさん、スキル獲得①
俺が森の中を更に歩くと一段開けた場所に出た。
(まるでゲームで言うならボスでも出てきそうな場所だな)
チラッ。
この場所を確認してみる。
俺が出てきた場所以外は道という道がない。
俺が通ってきた場所が唯一この場所に入ることができる道らしい。
その他は円形で周りを草木が囲っている。
そんなフィールドだ。
今からボスが出てきますよみたいな場所。
「ボスとソロで戦うのも初めてだなぁ、緊張するぅ」
警戒しながら真ん中の方に歩いていく。
その時だった。
「グォォォォォォォォォォォ!!!!」
ガサッ!
俺の対面の茂みからモンスターが出てきた。
名前:ゴブリンエリート
レベル:15
(俺とのレベル差は9か)
「グォォォォォォォォォォォ!!!!!」
雄叫びをあげて俺を見てくる。
(でけぇ)
普通のゴブリンはせいぜい1メートル程度だが、こいつは2メートルくらいある。
横幅も俺より一回りはデカいか。
ゴブリンが横綱だとしたら俺は普通の大人。
そんな感じの体格差である。
「捕まったらやばそうだな」
ブン!
ブン!
ゴブリンが棍棒を振りながらゆっくり近付いてくる。
その時だった。
「ギィィィィィィィ!!!!」
左右の茂みから2体のゴブリンが飛び出してきた。
(なるほど、1対1はさせてくれないってわけか)
意外と頭がいいな。
俺の左右に小さいゴブリン。
そして真正面にゴブリンエリートという構図。
(まずは左右の雑魚から始末しよう)
考えをまとめると速攻ゴブリンが襲いかかってくる。
「ギィィィィィィィ!!!!」
こいつらの知能は高くない。
よって俺の行動を先読みとかはしない。
俺の立っていた場所に武器を振り下ろす。
ガン!
俺が立っていた場所に棍棒を振り下ろすゴブリン2体。
「せいっ!」
俺は剣を横に振り2匹を同時に倒した。
【レベルが上がりました】
【スキル:防御無視を手に入れました】
(ん?なんだこれ?スキル?聞いてないぞ!こんなのが手に入るなんて!)
俺が不思議に思っていると、次にまたウィンドウが出てきた。
【防御無視はパッシブスキルです】
【防御無視効果が発動中】
そのとき、
「グォォォォォォォォォォォ!!!!」
ゴブリンエリートが走ってきた。
もちろん、俺に向かって。
そのまま距離が1メートルくらいになったところで、ゴブリンがジャンプ!
「グォォォォォォォォォォォ!!!!」
ゴブリンは空中で棍棒を真上に振り上げる。
俺に向かって叩きつけるつもりだろう。
(俺の回避方向は右か、左か)
いや
(前だな)
タッ。
俺はゴブリンエリートに向かって走るとそのまま前転してゴブリンエリートの股下を潜った。
ドカーン!!!!!!
俺の立っていた場所をゴブリンエリートは棍棒で叩きつけていた。
棍棒が地面に埋まっている。
グッ。
グッ。
棍棒を地面から引き抜こうとしている。
「だと思ったよ」
さっきのゴブリンとの戦闘で分かっている。
こいつらが何も考えずに力任せに武器を振っていることは。
よって、攻撃後は莫大な隙を晒す。
さらに俺は背後を取っている。
「俺の勝ちだ」
俺も飛び上がって剣をゴブリンの首に向かって突き出した。
しかし、そのとき。
カン!
予想していなかった音が鳴った。
なんだ、この音?
(?!剣が、なにか、固いものに……?)
よく見てみるとゴブリンの首には装備が着けられていた。
名前:硬い鎧(首のみ)
種別:防具
防御力:10
(高い位置にあったせいで見えなかった、俺の観察不足、か。仕切り直すか?大丈夫、こいつは弱い)
そう思っていたときだった。
【防御無視発動】
ガシャン!
俺の剣は防具をかち割ってゴブリンエリートの首に刺さった。
「グォォォォォォォォォォォ……」
バタン。
前に向かって倒れ込むゴブリンエリート。
「は、ははっ、まじか」
一瞬防具のせいで無理かと思ったが、スキルのお陰であっさり倒せた。
「防御無視、そういう使い方なわけね」
めちゃくちゃ強そうだなこのスキル。
防具を無視してダメージを叩き込むんだから。
(壊れスキルな気がするぞ〜、これ)
そう思いながら俺は武器をしまった。
そのままドロップ品の確認をする事にした。
全部お金だった。
合計【1万ジェル】
お金以外落とさないのかな?他のドロップとかも見てみたいんだが。
(でもゴブリンの素材がドロップするよりはマシか?)
物は考えようだ、そう思って俺はこれ以上考えるのをやめた。
それより、気になることがある。
戦闘中に獲得したスキルの防御無視だ。
(このスキルがどれだけ使えるのか、把握しておこう)
俺はこのエリアを少し歩き回った。
すると、岩があるのに気付いた。
ゲームの岩なんて破壊不能のオブジェクトとして置かれていることが多いが……。
俺は剣を持って岩の前に立った。
1メートルくらいのそこそこデカくて硬そうな岩。
前に立つとステータスが表示された。
名前:破壊不能岩
体力:5
防御力:∞
固定ダメージ:無効化
(一見壊れなさそうな岩だな。というか名前そのままだな)
だが体力はしょせんは5。
ダメージさえ通れば、壊せそうな気がする。
理論上は。
「ふぅ〜はぁ〜」
軽く息を吐いて俺は、剣を構えた。
このまま剣を振ればゲームだと『かーん』みたいな音が鳴って弾かれるんだろうけど、俺には【防御無視】がある。
さて、防御力:∞を無視してくれるかどうか……。
これを無視できるかどうかでこのスキルの価値は決まりそうだ。
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